編集部おすすめ! メキシコが舞台の傑作映画5選!
狂騒の後に切なさが押し寄せてくる……『天国の口、終わりの楽園。』
主人公はメキシコシティで暮らす多感なティーン2人。頭の中はガールフレンドとのセックスのことでいっぱいの彼らが、とある人妻に一目惚れし「観光ガイドには載っていないとっておきのビーチに連れてってあげるよ!」と誘ったことで、生涯忘れ得ぬ一夏の旅路が幕を開ける。名匠アルフォンソ・キュアロンが万感の思いを込めて故郷メキシコで撮り上げ、現地では年間NO.1ヒットを記録した名作である。 日本人の我々がビックリするほどの性描写で彩られつつも、この旅を通じて狂騒の向こう側に“友情”や“生と死”といったテーマが浮かび上がってくるところに、もう2度とは戻ってこない掛け替えのない時間をヒシヒシと感じずにいられない。作品を彩るフランク・ザッパやブライアン・イーノの名曲も旅情にいっそうの深みや切なさを添えてる。今や国際的なスター俳優となったガエル&ディエゴの幼なじみゆえの息の合い方、即興性、感情のぶつけ合いにも注目したい。
文=牛津厚信 text:Atsunobu Ushizu