「生ドーナツの行列」を嘲笑う人が知らない“真実” むしろ行列は「そこに滞在できる権利」になっている
一方で、行列は「その場に長時間滞在せざるを得ない場所」である。並んでいる間は基本的にはその場にいることが義務であるが、一方で権利と取ることもできる。「カフェ、混みすぎて入れないね」と言い合って、空気が変になるのを防ぐ、いわば免罪符的な効能もあると考えられるのだ。 「カフェを探さなくて済む、免罪符だなんて!」と驚く読者もいるかもしれないが、もはや都心ではカフェ難民化は深刻な問題である。夫婦やカップル同士で行列に並ぶのなら、食事後にすぐ帰宅すればいいかもしれないが、友人同士はそうはいかない。
業態にもよるが、食事の時間が1時間程度だった場合、そのまま解散するのでは少し話し足りない。 しかし、そこが行列のできる店であれば、自動的に「その場にいる権利」を手に入れ、ゆっくりとおしゃべりをして、しかも最後には目的の店で「飲食や買い物」ができる。 2つの目的を同時に達成できるのは、実はコスパ、タイパに優れた行為であると言えるのではないだろうか。
大関 まなみ :フードスタジアム編集長/飲食トレンドを発信する人