なぜ日本に中谷潤人、武居由樹、西田凌佑、堤聖也と4人も世界王者が揃っているバンタム級で統一戦が実現しないのか?
来年2月24日に有明アリーナで開催されるプロボクシングの「Prime Video Boxing 11」では、バンタム級の豪華3カードが組まれた。WBC世界同級王者の中谷潤人(27、M.T)は、同級6位、WBO2位の28戦無敗のダビド・クエジャル(23、メキシコ)とV3戦、WBA世界同級王者の堤聖也(29、角海老宝石)は、元WBC世界フライ級王者で同級7位の比嘉大吾(29、志成)を迎えて初防衛戦を行い、WBOアジアパシフィック同級王者の那須川天心(26、帝拳)は前WBO世界同級王者のジェイソン・モロニー(34、豪州)と“世界前哨戦”を戦うことになった。だが、中谷が願う統一戦は今回も組まれなかった。日本人が4つあるバンタム級のベルトを独占。「バンタム級の4団体統一トーナメントを日本で開催できるのでは?」とも話題になったが、なぜ統一戦がなかなか実現しないのか。その背景を探ってみた。 【映像】辰吉ジュニアの壮絶失神KO負けシーン
バンタム級が熱い。 来年2月24日のアマプラ興行は豪華3本立て。中谷は23歳の28戦無敗のメキシカンを迎え、堤は、WBO王者の武居由樹(大橋)に判定負けしてから再起してくる比嘉とのV1戦。そして天心は前世界王者とのチャレンジングなカードが組まれた。だが、中谷が訴え続けている統一戦は今回も実現しなかった。 辛口な論調で知られる米専門サイト「ボクシングニュース24/7」は「中谷はこのクラスを統一できる可能性があるサウスポーだけに残念なマッチメーク」と報じた。現在、WBC王者が中谷、WBA王者が堤、WBO王者が武居、IBF王者が西田凌佑(六島)と4人のバンタム級の世界王者が日本にいる。ひと昔前は、それぞれが契約している放送局の壁があったが、配信時代となってその障害もない。なのになぜ統一戦がなかなか実現しないのか。 実は、この2月24日に組まれる予定の幻の統一戦があった。会見で堤が座っていた場所には、前WBA王者の井上拓真(大橋)が座り、中谷―井上の統一戦がこの興行のメインとなるはずだった。しかし、ボクシングは実力のあるものが勝ち残るリアルな競技。筋書き通りにはいかない。10月に堤が井上との激闘を制して3-0判定で新王者となり、その構想は白紙に戻った。ただ世界王者になったばかりの堤が、いきなり中谷と統一戦を行うのは、「真の強者を決める」という“統一戦”の定義に反する。代わって堤―比嘉という勝負論も因縁もある魅力的なカードが組めることになったが、中谷は、照準を変更せざるを得なくなった。 中谷も「決まった相手に勝っていくことに集中している。その延長で統一戦につながる。高いパフォーマンスを発揮していきたい」とコメントしている。 タイミングもある。西田は12月15日に初防衛に成功したリング上から「断トツに強い選手になりたい。強いと言われている中谷選手とやりたいですね」と対戦要求を突きつけたが、2か月の間隔で、中谷と戦うのは無理。 武居は、12月24日にスーパーバンタム級の4団体統一王者の井上尚弥(大橋)とWBO&IBF同級1位のサム・サム・グッドマン(豪州)のアンダーカードで同級10位のユッタポン・トンディー(タイ)とのV2戦が予定されていたが、グッドマンの目の負傷で1月24日に延期となり、さらに武居も右肩に全治4週間の怪我を負ったため、その1月の防衛戦も延期となった。 中谷がバンタム級の王座に就いたのは今年の2月、5月4日に西田がIBF王者のエマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)からベルトを奪い、その2日後の5月6日に東京ドームで武居が、WBO王者のモロニーを3-0判定で下した。4人の日本人王者が揃ってから、まだ半年を過ぎたばかりであることを考慮すれば、統一戦が、まだ実現しないのも当然と言えば当然なのだ。
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