コツコツ増やしてきた私の財産なのに…金融資産5,000万円を遺して亡くなった夫以上に資産があることが判明した78歳女性。「専業主婦」というだけで2,445万円も多く相続税を払いそうになったワケ【相続の専門家が解説】
母親の預金が独自の財産だという証明はどうする?
母親が持つ預金が独自の財産であることを証明するためには、その資金の出所や管理状況を明確にする必要があります。以下の方法で証明することができます。 1.収入の記録を提示 母親の預金が自身の収入に基づくものである場合、以下を確認・提示します: 給与明細や年金記録:母親が働いていた時期の給与明細や受給していた年金の明細。確定申告書や税務申告記録:過去の所得税申告書に記載された収入の情報。これらの記録があれば、母親の収入が預金の元になっていることを示せます。 2.預金通帳の履歴確認 預金通帳の記録をさかのぼり、以下をチェックします: 預金が母親の収入源から直接入金されていること。父親や他者からの大口の振り込みがないこと。特に、長期間にわたり定期的に母親の収入が積み立てられていることを示せば、独自性が強くなります。 3.贈与や相続の確認 母親の預金が他者からの贈与や相続で得たものであれば、それに関連する証拠を提示します: 贈与契約書:贈与があった場合、その契約書や記録。遺産分割協議書:過去の相続で母親が取得した財産の記録。4.家庭内の資金管理の実態を示す 家庭内での資金管理が母親独自に行われていたことを説明します。 母親が家庭の収支を管理し、貯蓄していたこと。父親の収入とは別に、母親が管理していた口座があること。家庭の状況を説明する資料や証言があればさらに説得力が増します。 5.父親との関係性を明確化 父親が母親の預金に関与していないことを示す証拠も有効です: 父親の資産が別に管理されており、母親の預金とは混在していない。父親が母親に贈与していない(名義預金ではない)。6.金融機関の協力を得る 預金の出所に疑念が生じた場合、金融機関の協力を仰いで過去の取引履歴を詳細に調査することも可能です。 7.専門家の意見を活用 母親独自の預金であることを証明するためには、税理士や弁護士の助言を得ることも有効です。 名義預金や資金の出所についてのトラブルを未然に防ぐため、専門家に相談して文書を作成してもらうと安心です。注意事項 ・証明できない場合、預金の一部が「名義預金」とみなされるリスクがあります。名義預金と判断されると、相続税の対象となり、母親の財産が減少する可能性があるため、慎重に対応してください。 曽根 惠子 株式会社夢相続代表取締役 公認不動産コンサルティングマスター 相続対策専門士 ◆相続対策専門士とは?◆ 公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp)認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。 「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。
曽根 惠子