コツコツ増やしてきた私の財産なのに…金融資産5,000万円を遺して亡くなった夫以上に資産があることが判明した78歳女性。「専業主婦」というだけで2,445万円も多く相続税を払いそうになったワケ【相続の専門家が解説】
相続に強い税理士の見解
母親が専業主婦だったとしても、母親固有の財産は持っていてもいいことですし、会社経営をしていた父親よりも堅実に財産を残してきた可能性もあるかもしれません。 母親に聞いたところ、働いていた時期の預金をずっと貯めてきて、投資していた株が増えたり、保険の満期返戻金が入ったりして少しずつ増えてきたものだといいます。父親のお金をまとめて振り替えたりということもないようです。 この状況からは、母親の預金は母親独自の財産として考えればよく、父親の相続財産として申告をする必要がないというのが私たちのアドバイスです。 念のため、業務提携先で相続税申告に慣れている税理士にも確認しましたが、同じ見解で、父親の財産とは切り離して考えればよく、それで問題ないという判断でした。
税理士の判断で変わる
相続税は、証明となる書類を添付して、自ら「申告」しますので、税務署に対して説明できればよいということです。父親の財産のうち、預金は残高証明書を添付するうえ、事前に通帳などで入出金も確認するので、母親の口座に移された記録がないことも証明になります。 けれども、顧問税理士のように「専業主婦にはまとまった預金はない」という固定観念で判断して、相続財産として加算して申告しなければならないという結論を導き出されると相続税が増える結果となり、相続人の負担が増えることになります。 これは、会社の顧問税理士という立場で、税務調査に入られないように、多めに相続税を払って税務署の心証をよくしようということなのでしょう。税務署は多めに納税されたとしても「多すぎるので相続税を減額します」ということにはなりません。相続人よりも、税務署側を向いて仕事をしているように感じます。 遥さんには、会社の顧問税理士だとしても、相続税の申告は別と考えて、他の税理士を選択するようにアドバイスし、母親と弟で相談してもらうようにしました。
名義預金には要注意
名義預金とみなされる場合とは、預金口座の名義人と実際の預金の所有者が異なる場合を指します。このような状況が生じると、名義預金として相続税の課税対象になる可能性があります。以下に、名義預金と判断される主なケースを説明しておきましょう。