メルヘンなタイル画がユニーク!鋳物の街に佇む湧水の銭湯 内免湯(富山県高岡市)
こんこんと湧き出る豊かな水
そのあと釜場も見せてもらった。明るいうちはオガクズと木っ端、夜になったら重油で沸かしているそうだ。 ――水は地下水ですか 「そうです。ここから勝手に湧いてますよ」 見ると煙突の根本から2カ所ほど水がどんどん湧き出している。手ですくって飲んでみた。朝ペットボトルにくんだ宿の近くの湧水(ゆうすい)と同じ、やわらかい水だ。 ――どこかの山からの伏流水が流れてきてるということでしょうか 「たぶん扇状地の末端で水が出てくる場所なのかな」 湧出した水は脱衣場横のグレーチングの下に流れ込んでいる。 「ここに友釣りのおとり鮎(あゆ)を泳がせておくんですよ」 なんと豊かなことだろう。どうりでお湯がやわらかくてスッキリしてたはずだ。 ――ここでミズバショウとかワサビとか育つんじゃないですか。 「かもしれませんね」 わけのわからないことを言う私に、ご主人は真面目に答えてくれた。遠くに雪をかぶった立山連峰が見えている。高岡はなんて素晴らしいところなんだろう。 その夜は宿の屋上に上がって一人ビールを飲み、この街との別れをしみじみと惜しんだ。そんなこんなで、高岡での3日暮らしは終わった。さて、来月はどこの街に引っ越そうかな。 【和倉湯】 富山県高岡市東下関7-10 電話 0766-23-7396 営業時間 13:30~22:00 定休日:月曜 【内免湯】 富山県高岡市内免5丁目2-13 電話 0766-23-0118 営業時間 14:00~22:00 定休日:月曜 (文・写真 松本康治 / 朝日新聞デジタル「&Travel」)
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