メルヘンなタイル画がユニーク!鋳物の街に佇む湧水の銭湯 内免湯(富山県高岡市)
重伝建と鋳物のまち、高岡
この宿はロビーに自由に飲んでよい紙ドリップ式のコーヒーがある。翌日はそれを飲みながら朝から昼過ぎまで仕事した。 それから気分転換がてら散歩に出た。たしか20年前に来たとき、重々しい歴史的建造物が並ぶエリアを通った記憶がある……と、ほどなく一目でソレとわかる通りに出た。立派な元銀行の近代建築と並んで、北前船の時代の重厚な建物も並んでいる。「土蔵造りのまち」と呼ばれる山町筋(やまちょうすじ)で、国の重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)に指定されている。 その通りを横切り、千保川(せんぼがわ)を渡ったところに不思議な緑地が現れた。公園のようだが誰もいない。日陰で休んでいると、突然、池の噴水が出はじめてビックリした。池の横に「鋳物のまち云々(うんぬん)」と説明が書かれたモニュメントがあり、公園の奥に「高岡市鋳物資料館」の裏口があった。そうか、高岡は鋳物のまちなんだな。せっかくなので資料館の無料ゾーンだけ見学した。 高岡はかつて日本一の銅器の生産地だったらしい。鋤(すき)や鍬(くわ)などの農具から始まって、塩釜や釣り鐘などの大物を作るようになり、やがて銅器生産へとシフト、さらに戦後はアルミ産業へと発展した。今も三協アルミ(現在はグループ統合で三協立山)などが高岡を本社にしている。 資料館を公園と反対側の表口から出たら、そこにはまたもや歴史的なまちなみが広がっていた。さっきの山町筋とは違って道幅が狭く、土蔵造りではなく庶民的な木造建築で、なかなかの趣だ。いま資料館で学んだばかりの、金屋町の通りだった。金屋町は江戸期に鋳物産業を定着させるために免税地として職人が保護された町で、現在はここも重伝建に指定されて観光の目玉となっている。 じつはここへ来るまで、やたらと外壁に銅を貼った民家や店が多いなと思っていたが、その理由がわかった。高岡では銅はごく身近な素材なのだ。そういや「高岡大仏」も銅だ。