【不定期対談】天竺鼠の川原と。クリープハイプ・尾崎世界観「表現をする上で 『お客さん』はどんな存在なのか?」(前編)
お笑い芸人、絵本作家、映像監督、俳優など、ジャンルを飛び越えて唯一無二の存在感を放つ天竺鼠の川原克己(かわはら・かつみ)さんが、各界のアーティストとお互いの創作活動についてさまざまな言葉を交わす新企画が始まりました。初回のお相手はクリープハイプの尾崎世界観(おざき・せかいかん)さんです。 【写真】お互いの創作活動について語る川原克己と尾崎世界観 * * * ■世界観くんはたぶん〝ちゃんと変〟 川原 俺と映像作家の山田健人くんのユニットで、クリープハイプのMVとジャケット写真に携わったのがきっかけよね。 尾崎 もともとおふたりの活動を見ていたので、レコード会社のスタッフさんからユニットの話を聞いておもしろそうだと思い、お願いしました。かなりとがった企画でしたよね? 川原 このMVの本当のおもしろさって、気づいてない人は気づいてないのよ。でも、別に誰に気づかれなくてもいいから、「なんかちょっと気持ち悪いものを」ってね。 MVはドラマパート→演奏パート→ドラマパート......っていう展開が多いって聞いたから、「じゃあ両方ありきで、最初ちょっとだけ出てきたドラマを回収しないで終わるのはどう?」って。しかもそこになるべく大物の方を使いたいっていう。 尾崎 それでちゃんと出ていただけたんですよね(笑)。そもそも、3~5分の中ですべてを伝えるのは難しいので、ドラマパートと演奏パートが半々ぐらいのMVこそが不自然なんです。 あまりにも型が決まっていて、その中で誰かが新しいことをしたらまたそれをまねするということの繰り返し......。そういうものではない、ぬるっと変なことがやれて本当にうれしかったです。 川原 ね、満足できるものだった。枠の中でやっていくのではなくて、枠を崩していく違和感とか、おもしろさの芯の部分が一緒だったから、OKまでが早かったよね。 尾崎 ただ、打ち合わせはけっこうしましたよね。最初はお互いどう思っているのかを探り合っていたのか、だいぶ緊張感がありました。それとやっぱり、ただふざければいいわけではないので、そこをすごくまじめに探っていたと思います。