【不定期対談】天竺鼠の川原と。クリープハイプ・尾崎世界観「表現をする上で 『お客さん』はどんな存在なのか?」(前編)
■ダメなところがあるほうが好き 川原 俺は「自分が好きでやってる」っていうのが伝わってきたときにおもしろいと感じるって話をしたけど、世界観くんはどういう音楽が好きとかはあるの? 尾崎 ちゃんとダメなところがあるものが好きですね。ちゃんと欠点があるけれど、そんなの関係ないぐらいほかがすごいもの。自分が完璧にできないというコンプレックスがあるからこそ、そういうところに惹かれるんだと思うんですけど。 川原 欠点って、具体的にはどういうところなの? 尾崎 ツッコミどころというか、アンチも多くいるようなアーティストに強く惹かれます。 川原 それは曲も人もってこと? 尾崎 主に曲ですね。あと、これは余談ですが「自分はまだまだ売れてないから、ここから這い上がるぞ」というのを過剰にアピールする歌が苦手です。 川原 なんでや、ええやん(笑)。 尾崎 「それは作品にする前にやることだろう」と思ってしまうんです(笑)。 川原 「僕も若い頃はそんな曲作ってましたわ~」って感じではないの? 尾崎 何曲か作ったことはありますけど、「まだまだここから這い上がる!」みたいな曲ばかりだと、日本武道館やアリーナクラスの会場でライブをするときに矛盾が生じる気がして。 そもそも人を励ましたり応援したりというのも、あんまり自分の中にはないんです。それはなんかちょっと違うと思ってしまうんですよね。 ●川原克己(かわはら・かつみ) 1980年1月21日生まれ、鹿児島県出身。お笑いコンビ「天竺鼠」のボケ担当。芸人以外にも映像監督、俳優、絵本作家、音楽活動など多岐にわたって活動中。 ●尾崎世界観(おざき・せかいかん) 1984年11月9日生まれ、東京都出身。ロックバンド「クリープハイプ」のボーカル・ギター。12月4日にニューアルバムを発売予定。執筆活動も行ない、『母影(おもかげ)』『転の声』が芥川賞候補に。 構成・文/佐々木 笑 撮影/TOWA 衣装協力/Pigsty原宿店 LOST BOY TOKYO