明治用水頭首工の漏水から2カ月半 復旧進む現場をドローン撮影
明治用水頭首工の漏水から2カ月半 復旧進む現場をドローン撮影
愛知県豊田市の取水施設「明治用水頭首工(とうしゅこう)」で漏水が確認されてから2カ月半となる7月31日、復旧作業が続いている現場をドローンで撮影した。右岸側は平年並みの取水を確保するためのポンプがさらに増設されていた。左岸側は漏水箇所が土砂で埋め立てられている様子が上空から確認できた。
左岸側は原因調査進み、土砂で埋め立て
この頭首工では5月15日に左岸上流側で漏水が確認され、同17日には漏水量が大幅に増え、取水が困難になった。 その後の東海農政局による磁気探査で、川底に「水みち(パイピング)」が発生するのを抑えるための鉄の矢板が、左岸側の一部で打ち込まれていなかったことが分かった。この矢板がない部分を上流から下流へ通り抜ける小規模な水みちが15日に発生したと推定されている。 また、音響センサーによる調査で「エプロン」と呼ばれるコンクリート製の基礎が崩落していたことも分かった。これによって当初の水みちに大量の水が流れ込み、17日以降の大規模漏水につながったとみられている。左岸側の堰の下には幅約5.8メートル、高さ約1.8メートルの空洞が見つかっており、ここから下流側に水が漏れていたようだ。 農政局は磁気や音響センサーによる間接的な調査はほぼ終えており、現在は漏水箇所に土のうや土砂を投入して水を止める工事に入っている。ドローン撮影では、これまで水が勢いよく流れ込んでいた漏水部分が土砂で整地されているのが確認できた。今後は土砂の上に型枠を敷いてコンクリートを流し込み、さらに大型の土のうを積んで完全に水をくい止めるという。 なお、これらの工事は7月末までに終える予定だったが、大雨や増水の影響で遅れが出たため、現在は8月末の完了見込みとなっている。大雨や台風の時期が過ぎる10月以降には、再びコンクリートや土砂を撤去し、漏水箇所を直接確認する調査などを再開する。本格復旧には数年がかかると見込まれている。
右岸側はポンプ41台増設、農業用水は毎日通水へ
一方、右岸側はこの1週間ほどでさらに41台のポンプが増設され、計約200台のポンプが稼働。仮設の導水路からの自然取水と合わせて、平年並みとなる毎秒18トンの取水を確保できるめどが立った。ドローン映像からも、ポンプから伸びる幾筋ものホースやパイプが護岸から用水に引かれている様子が見て取れた。 こうした対策で、3日に1回だった農業用水の通水は8月1日から毎日通水できるようになる。75%の取水制限が続いている工業用水も、取水の状況を見極めて制限を緩和していく方針だという。 (文・関口威人、ドローン撮影・吉田尚弘/nameken)