静岡空港西側の県有地、民間活用へ 訪日客増でにぎわい創出期待 静岡県が調査方針
訪日需要が拡大する中、静岡県は静岡空港の利便性向上や周辺地域の活性化に向けて、空港西側の県有地の活用に本格的に乗り出す。新型コロナウイルス禍で落ち込んだ民間の投資意欲が回復し、事業者から土地利用の問い合わせが増えているという。静岡県はこうした動きを確実に事業化につなげようと、来年2月に事業者の提案を募るサウンディング型市場調査を実施し、2025年度にも県有地を活用する事業者を公募する方針だ。 静岡県は2020年10月、民間活力により空港西側県有地の一体的な整備を図る方針をまとめた。県有地は約50ヘクタール。静岡県空港管理課によると、コロナ禍の影響で約3年間はほぼ引き合いがなかったが、国際線の運航が回復してきた昨年から事業者の問い合わせが増え始めた。ホテルやグランピング施設など空港機能の向上やにぎわい創出が期待できる事業提案も寄せられているという。 調査ではターミナルビルに近い「エアフロントゾーン」、自然環境を生かす「アウトドアゾーン」、地域と連携した活力創出を図る「地域活性化・次世代育成ゾーン」、脱炭素化のシステム構築を目指す「自然エネルギーゾーン」を対象に、事業内容や運営方式、期間などについて意見を聞く。新たなゾーン設定の提案なども募る。土地利用は貸し付けや使用許可による利用を前提としている。 同課によると、静岡空港は国際線の利用者が増加しているものの、周辺地域での滞在時間が短く、周遊性に課題がある。地元の牧之原市では道の駅の建設や住宅、商業、産業用地からなる「新拠点」の整備が進められている。同課の担当者は「来訪者が空港を核に周辺へ足を伸ばせるようにしたい」と話し、空港西側県有地の活用を「開港から15年が経過した静岡空港の新たな一歩にしたい」と意気込む。 ■国際線好調、経済効果 23年度は271億円 静岡県の推計によると、静岡空港が創出した2023年度の県内経済波及効果(生産誘発効果)は271億5000万円で、コロナ禍前の19年度比72.5%まで回復した。24年度は韓国・ソウル線を中心に国際線利用が好調で、前年度を大きく上回る見通しだ。 経済波及効果は空港利用者や見学者へのアンケートを基に推計している。県によると、23年度の搭乗者数は51万3000人。出発旅客による経済効果65億6000万円に対し、到着旅客の効果は131億円と算出した。到着旅客の4割はソウル線利用者だった。 24年度の搭乗者数は10月末時点で約33万6000人と、既に23年度の65%に達している。10月にソウル線が増便し、12月には香港線が新規就航するなど明るい話題が続いている。県幹部は「訪日客が創出する経済効果は大きい。東南アジアなどさらなる新規路線の開拓を進めたい」と話す。
静岡新聞社