大規模漏水から4週間 ドローンで見た明治用水頭首工の復旧作業 愛知・豊田
愛知県豊田市の取水施設「明治用水頭首工(とうしゅこう)」で大規模な漏水が確認されてから4週間が経った6月12日、復旧作業が続いている現場をドローンで撮影した。右岸に矢板が設置されたことなどで用水への取水は順調に確保されている一方、左岸の漏水箇所はまだ正確な特定が難しいことが上空から見て取れた。
右岸には鉄の矢板打って取水確保へ
現在の頭首工は1958(昭和33)年までに完成したコンクリート製で、矢作川を堰き止める幅約167メートルの堰と、平年は毎秒約20トンの水を明治用水に流す取水口がある。 その数百メートル上流には、明治時代に築かれた石積みの「旧頭首工」もあり、今回の漏水で旧頭首工周りにも土のうを積み、川の流れを右岸側に寄せる工事が行われている。 この1週間で土のうの他に鉄の矢板を打ち込む作業も始まり、右岸側の水位が増している。現在はポンプによって毎秒約8.5トンの取水が確保され、農業用水にも供給が再開されている。さらに工事を進めて、最終的に仮設ポンプではなく、本来の取水口から水が自然に引き込まれるようにする計画だ。
左岸側は土のう増えるも水止まらず
一方、漏水の原因となる「穴」が開いたと考えられている左岸側では、1週間前に比べて漏水箇所を囲む土のうや土砂が大幅に増えていた。しかし、まだ流れ込む水は完全に止まらず、上空からの撮影では「穴」の特定は難しかった。 ただし、その範囲はかなり狭まっており、水が噴き出していた堰を挟んで下流側も水位が下がり、川底の土砂が広範囲でむき出しになっていた。 施設を管理する東海農政局は13日の記者会見で「穴」の位置について、「左岸で積んでいる土のうの内側にあると推定はしているが、まだ水が入り込んでいるため詳しい調査まではできない」と説明した。 左岸にも矢板を打ち込む工事を14日から始め、漏水箇所周辺の水を抜いて調査をするとともに、左岸側からも平年並みの毎秒1.3トンほどの取水の再開を目指す。工事の完成は7月下旬を見込んでいるという。 だが、出水期で増水すれば作業も難しくなる。東海地方の梅雨入りはまだだが、本格的な梅雨を前に作業が急がれる。 (文・関口威人、ドローン撮影・吉田尚弘/nameken)