世界最古記録 40億2千万年前の岩石が語りかける太古の地球の姿
一古生物学者から言わせていただくと、こうしたさまざまな岩石の利用価値や魅力・魔力などに加え、岩石は地球の太古環境を探求する時、最高のアーカイブ及びデータ源としての側面がある。現在手に入る岩石を分析することで、いつ頃、どのような環境で生成されたのか、その起源を推測することができる。時に、何千万年から何億年に及ぶ岩石が生み出されるプロセスを探ることもできる。そのための実にさまざまな手法が、地質学者や物理学者、化学者達により、過去200年以上にわたって考案され、発展を遂げてきた。 その際、一つ重要な条件がある。はるか太古の時代に起きた出来事は、タイムマシンでも使わない限り、直接この目で観察することはできない。そのため地質学者や古生物学者が説く太古の出来事は、あくまで「推測」にすぎないという点だ。しかしこうした考察を働かせる際、直感などではなく、一連の証拠にもとづき推理を行い、そして信憑性の高いデータによって(いろいろな)仮説の検証という作業が伴われる。あくまで仮説なので、例えば地質年代のある特定の期間に寒冷化が起きていたというアイデアに、賛成派と反対派の研究者が出てくることも起こり得る。大絶滅の原因に関してもさまざまな(仮説としての)アイデアが提出されているのもそのためだ。
さて、大学の初期レベル地質学の講義でまず習うのは、三つの大きな岩石のグループだ。まず火成岩で、マグマが冷えて形成された岩石のグループを指す。冷え方やマグマの種類や環境などによってさまざまなタイプがある。堆積岩は文字通り、水や風の動きによって運ばれてきた堆積が、長期間を経て岩石化することで形成される。砂岩、泥岩、ライムストーンなども細かく見るとたくさんの数に分類される。変成岩はオリジナルの岩石に、熱や圧力、化学反応を加えることによってその姿を大きく変形・変成された岩石だ。電子レンジで調理されたとうもろこしがポップコーンに姿を変える如く。 三つのグループ―変成岩は、長大な地質年代と密接な関わりがある。特に非常に古い地質年代―例えば5.41億年以上前(先カンブリア代)―の岩石のほとんどは、その長い時を経てきた間にさまざまな熱や化学反応などの条件をくぐり抜けてきた。そのため、もともとオリジナルの堆積岩や火成岩としての岩石に、多かれ少なかれ「変成」が起きてきた。そのため、一般に「ハード・ロック」と呼ばれ、基本的に非常に「硬い」特徴がある。逆に言うと何千年や何万年単位の時間では、変成岩はほとんど形成されることがない。 火成岩は、火山噴火や地中を移動するマグマの名残として形成される。こうしたマグマ活動は地質年代の間、何時何処で起きても不思議ではない。堆積岩は、よく河川や湖、海などにうず積もった堆積が岩石になることによって形成される。砂岩や泥岩などは比較的新しい時代(例えば何百万年前にあたる新生代後期)のものもある。比較的軟らかいので「ソフト・ロック」と呼ばれることもある。何億年前の先カンブリア代にも海や川は存在したので、かなり古い時代の堆積岩も知られている。しかし、かなり古くなればなるほど「変成の進んでいる」ものも多いようだ。