所ジョージ「いつも何らかの刺激を受けて楽しいです」――「所さんの目がテン!」
「決められたことを言うのは自分じゃないと思っている」
――長きにわたり番組が愛されてきた理由は何だと思いますか? 「朝7時というまだ皆さんの目がボーっとしている時間帯の放送というのはあります。これがゴールデン(※午後7:00~10:00の時間帯の俗称)だったら、多少私も身構えるでしょう(笑)。朝ご飯を作っていて、水道の音にテレビの音が消されている感じがちょうどいいのだと思います。そんな気を張らずに聞かなくてもいい時間帯だし、かといって、ちょっと耳に入ってくる情報は間違いなくいい情報として残る。そこが皆さんのレギュラーになっているんだと思います。あと、僕はテレビ番組ってスタンダードが基本だと考えていて。その時のニュース性のあるものにしがみついちゃうと、そのニュースと一緒に終わっていっちゃうこともあるから、これからもスタンダードな疑問が続くといいなと。そして、僕が収録の時にカンペ(※カンニングペーパー)を見ないのは、作家が書いたものに従いたくないから(笑)。借りを作るのが嫌っていうか、流れや進行とか大筋は台本を見るけど、決められたことを言うのは自分じゃないと思っているので、つまらなくなっちゃう。大体のところで流れていけばいいなと。他の番組でもそうだけど、それは35年前からずっと同じです。だから最初に言いますよ、カンペいらないからって(笑)。だって、1時間や2時間は世間話できますからね、僕は。24時間しゃべっていろって言われたらずーっとしゃべっていられますよ。だから、台本はなくても、テーマだけいただければいいです。世田谷ベース(※こだわりが詰まった所が建てた仕事場兼遊び場)での収録の時も、カメラマンはその日に何をやるか分からない状態で『ただ来ればいいから』って言って来てもらいます。思い付きですよね(笑)」
――35年前、番組のオファーが来た時のことを覚えていますか? 「面白い話だと思いましたよ。これまで深夜とかゴールデンの時間帯はやっていたけど、朝はやったことがなかったので。この時間帯でやることに興味はありましたね。あとは、教育番組だから僕も勉強になりますし。スタッフの皆さんと打ち合わせをするじゃないですか。私もくどいから(笑)、そこでテレビを見ている人に(内容が)分かりづらいとか、実験を撮るにしてもこちら側に都合のいい実験だから、『こうしないといけない』とか。そういう話し合いが楽しかったですね。今もありますよ。『こうだったら(視聴者に)伝わらないよね』とか。でもスタッフも慣れたもので、僕が何か言っても聞いていないから(笑)。また言っている! みたいな感じですよ」 ――これまでの企画の中で印象深いものは? 「時々、小中高生をスタジオに呼んで実験をする機会があるんですが、子どもたちの表情や反応が見られる回がたまにあるのはいいですね。毎週だと、やつらも慣れてくるのでうるさいですから(笑)。でも、子どもたちの実験に驚かされることもあって、そうなるんだ! ってワクワクします。初めの頃は里山に行くのも面倒くさいと思っていましたが、今は行きたい! って思います。ワクワクが増してくるというか、ある程度整備されると、この男(所自身)はその気になるみたいね(笑)。初めの頃、先が見えない時は面倒くさかったけれど、あれ、いい展開になってるんじゃないの? って感じになると、さもずーっとやって来たようにノってきました(笑)。印象に残っていることは、この番組って必ず最後にスタッフが考えた料理を用意するんですが、全部まずいんですよ。絶望的にまずいんです(笑)。余計なことをするなよと思うんですが、スタッフは懲りずにチャレンジするからすごいなと思います(笑)。だけど、里山で獲れたものだけで作った納豆は本当においしかった! ああいうのがいいんですよ。手が加わっていないそのまんまを出してほしいです」 ――この番組を機に、影響を受けたものはありますか? 「僕が普段気になっていることって、テレビ受けしないんですよ。だから、自分が気になっていることは、なかなかこの番組では扱われないです。逆に僕は、いつも何らかの刺激を受けています。だから楽しいです。テレビ局に来るのが楽しくて好きなんですよ。逆に、一番緊張するのは家ですかね(笑)。娘の目線とか、親としての立場を考えると緊張しちゃいます(笑)」 ――所さんにとって「目がテン!」とは? 「レギュラー番組なので収録日も同じじゃないですか。僕は自分でスタジオまで運転して来るのだけど、来る道も同じだし、帰る時間もだいたい同じで、もう生活に組み込まれています。この先は…自分が元気で笑えている内は、(番組を)やるつもりです。だってそうでしょう。さすがに調子が悪くなったら辞めますよ。息絶え絶えでやりたくないし、周りに心配されてまではやりたくないですからね!(笑)」 ――ありがとうございました。