所ジョージ「いつも何らかの刺激を受けて楽しいです」――「所さんの目がテン!」
身近なテーマに対して、科学の視点からアプローチする教育番組として1989年10月1日に放送を開始した「所さんの目がテン!」(日本テレビ系)が、10月の放送で35周年を迎える。現在まで放送回数1700回以上を数える同番組に出演する所ジョージに、長寿番組を続ける秘訣(ひけつ)を聞いた。 ――35周年を迎えた今の気持ちをお聞かせください。 「長いこと日本テレビで仕事をしているなぁと思います(笑)。実は、目がテンの前にも番組をやっていて。『世界まる見え!テレビ特捜部』とか、一時期あんまり日テレばかりで仕事をしていたから、『それって日テレ』(※かつて同局で使用されたキャッチコピー)にかけて、『俺って日テレ』と言っている時がありました(笑)。だって、新社屋が建つ前からですよ。まだ日本テレビに鉄塔が立っている時から仕事をしていたので、長く仕事をしているなと思います。こういう(周年記念的な)ものがあると振り返るけど、自分のことってあまり振り返らないタイプなんです。1日1日、一生懸命暮らすのがやっとですよ。『今日、なんか面白いことがあるんじゃないかな?』とか、楽しいことに飢えているから、あんまり振り返らないんです。だって動き過ぎでしょう! 時間を感じていたら、今頃、僕は死んでいると思います(笑)」
――10年の歴史のある「かがくの里」や、新企画の「目指せ!いきものの森」など、精力的に取り組まれていますが、今後の「目がテン!」に期待することをお聞かせください。 「『かがくの里』に、いろんな虫や動物が来たらいいなとか、そういう気持ちは全くなくて。秋の収穫祭の時に、おいしい物が食べられたらいいな、とかとかそんなことぐらいしか考えていません。たまたまいろんなことをしていたら、あの場所がだんだん循環していって良くなったというだけですよ。最初から僕らは計画を立てていた訳ではないですし。一つ一つやっていった結果、今がありますが、都合の悪いことは放送していませんからね(笑)。以前里山に行った時、柿が食べられると言われたけど、『あの柿は渋柿だから食べられないよ』って散々口を酸っぱくして言ったのに、番組で柿をむいて『どうですか』って聞くんですよ。だから『渋い!』って言っているのに、3回も食べて。でも、柿の話は放送しなかった! だから言うことを聞け! ってことなんですよ(笑)。長く生きているんだから、渋柿だって見て分かってるんだから、止めろってことですよね(笑)」 ――「かがくの里」はこれまでたくさんの方々に支えられてきましたね。 「支えてくださったというか、あの方たちが全てやってくれています(笑)。本当ですよ。畑って毎日見ないと駄目だし、田んぼに水が減ったら、井戸水を加えたりとか。周りに住んでいる方たちの協力がないと成り立たないですから。今後、建築家の隈研吾さんが設計したかやぶき屋根の家が建つでしょう。そうしたら、全国から隈さんの作品をみんなが見に来たいと思ってあの場所がバレちゃうかもしれない。セキュリティーとかどうするんだ! ってことにもなる。ということは、あの地域に住んでいる方たちが目を光らせてくれないと保全できないと思います。いろんな人たちが見学に来るようになって、かやぶき屋根の家が最悪、ひどく荒れることになったら、僕が黙って自分の土地に移築します(笑)。隈さんの建築物はなくなりません(笑)。半分くらい駄目になって荒れてきたら、見切りをつけて僕のものにします。当たり前でしょう! 僕はね、責任感がありますから。決して欲じゃないですから! 隈さんの建築物がほしい訳じゃありませんよ!(笑)」