指導者人生はまだ始まったばかり(インカレバスケ2024・環太平洋大学 西垂水美桜監督)
「ボールを持ちすぎちゃうというのがあったので、球離れをしてほしくて、パスランで簡単に2点を取るとか、パスゲームを意識してやってきました。もともと3ポイントと1対1をベースにしたチームだったので、スキルはあるんです。その中で自分たちの得意なものを生かせるプレースタイルになるようにフォーメーションを増やして、あとはブレイクを出すこと、アウトナンバーの攻め方、ピック&ロールあたりを頑張ってやってきました。それと、春にみんなと会った段階で結構ふっくらとしてたので、走らせました。ラントレはキツかったと思うんですけど、今日みたいな試合のときに走り負けない体作りと、気持ちの部分で苦しくても頑張れる力をつけてこれたと思います。大エースはいないので、『だから全員バスケで頑張るんだよ』って。 練習メニューももともとあるものを中心にやりながら、でもそれだけじゃ勝てない、彼女たちも何か変化がほしいというのを伝えてくれたので、この半年間は私から『こういう練習はどうかな』という話を特に4年生とすり合わせてきました。私になって初めてのインカレで、カズさん(中川前監督)が連れてきたこの子たちで私なりのバスケットをして結果を残すことに意味があると思ったし、監督がいない時期に4年生が自分たちで練習メニューを作るところから始まったシーズンだったので、とにかく密にコミュニケーションを取ることを大事にしてきた1年でしたね」 こういったコーチングの手法は、これまでに優れた指導者たちの教えを受けてきた経験が生きた。明星学園高の故・椎名眞一コーチや共栄大の楠田香穂里監督(現・明星学園高コーチ)など、母校の恩師の教えは全て参考にしている。何より、同じく指導者である両親からもアドバイスをもらっているということだ。 「もうそのまんまというか、いろんな方のやり方が混ざってる感じです。大学のときは監督が女性で、コミュニケーションを大事にしてくれたのが今に生かされてるし、高校のときの分解練習でとにかく体に染み込ませる方法もすごく大事だと思ったので、今自分もやってます。全部が自分にとって良い勉強だったなと思います。自分の父と母も含めて、いろんな人の話を聞いて手助けしてもらってます」 指導者としては1年生ながら、まだ26歳という若さはメリットにもなる。体が動く年齢といっても、自ら手本を示すことはあまりしないそうだが、学生と年齢が離れていないことが、チーム作りにはプラスに働いているようだ。 「なんせ指導者が自分しかいなくて、50人くらいの部員をA・Bチームに分けてやってるので、そこは体力的に若くて良かったなと思います(笑)。『一緒にやりましょうよ』って言ってくれるし、一緒にやれればいいんですけど、もう走りたくなくて(笑)。トップスピードではできないし、説明すれば頭で理解できる子もいるので、お手本もたまにしか見せないです。シューティングだけはあの子たちにも勝てる(笑)。 ただ、選手たちは和気あいあいと、私の所にもユウさんユウさんって来てくれる。そのままでいつでも帰ってこれるような、ファミリーみたいなチームを作れればいいなと思ってます」