9割の親が「やらせてよかった」…専門家が解説する「中学受験」知られざるメリット
地方の中学受験率も高い
ですから、今後は「中学受験」単体ではなく、大学受験をセットで考えることがより重要になるでしょうし、そういう対策を行う塾のニーズが高まってくると思います。 大学受験を見据えるなら、中学受験から入る方がコスパはいいと思います。高校受験がなく、中高一貫校の6年間で大学受験に向けて対策ができれば、余裕が全く違ってきますから。地方などではよくありますが、高校3年間で名門大学に受からせるというのは、それもそれで一つの文化としてある。しかし、医学部や東大、京大などになってくると、どうしてもハードルが高くなってくる。このくらいのトップ校は、やはり中高一貫校の方が合格率が高い傾向があります。 関西はもちろん、地方の中学受験率も高くなっています。例えば群馬。以前までは高崎高校、前橋高校がトップとされていましたが、今は公立の中高一貫校である中央中等教育学校がその2校を脅かしています。それまでは高崎高、前橋高の牙城を崩すなんて絶対無理だと言われていたのに、現実に起こりつつある。群馬だけでなく愛知、宮城、富山など、色々なところで、中高一貫校が新設されたり、2番手校が中高一貫校化したりすることで、トップ層を先に確保するという現象が起きています。「東大や医学部に行くなら中高一貫校の方がいい」という考え方は、地方にも浸透してきているということなんですね。 実は中高一貫校のメリットは、大学受験に有利ということだけではありません。中高の6年間の密接な関係、結束力というのは将来、本当に大きなものになるんですね。このつながりは大人になってビジネスの場でも強い人脈になります。
国語が得意と気づいて……
一度中学受験をやってみることで、子どもの得意分野を見つけることができたというケースも多々あります。中学受験では志望校には受からなかったけど、ここで国語が得意だと気づいて、国語 を伸ばしたことで高校受験ではトップ校に受かったというケースも耳にしました。得意が見つかり、早くから褒められる要素が見つかるというのは、重要なこと ではないかと思うのです。能力を試すという意味でも、受ける価値はあるのではないかと思っています。 中学受験は、落ちてしまっても公立には行けるわけですし、その意味でもチャレンジする意義が大きい気がします。迷うくらいなら、とりあえず受けてみたらいいんじゃないかというのが私の考えです。 もちろん、マイナス面もあります。うまくいかなかったときに、挫折感を味わうことになってしまう。親がきつい言い方をしてしまうこともあります。これによって、「自分はダメなんだ」と、自己肯定感が低くなってしまうこともあります。 でも、たとえ志望校に受からなかったとしても、中学受験にチャレンジしたこと自体に満足感を得ている家庭は多いです。中学受験を終えた親御さん200人に尋ねたことがあるのですが、志望校の合否を問わず、9割くらいは「やらせてよかった」と話しています。たとえば、中学受験 対策では文章を大量に読むので、本を読む習慣も身につくし、大学受験にも役立つんですね。あるいは小学生のうちから基礎的計算力もつけておくことは、後々数学を学ぶにあたっての土台になってきます。