「中京は終わっとる」地元で挙がった辛辣な声を跳ねのけて…中京大中京「名門ならではの苦悩」を乗り越えつかんだ7年ぶりの甲子園【2024甲子園・注目チーム紹介】
「夏は内容よりも負けないことが大切」
そんな中で迎えた今年の愛知県大会の歩みは決して楽なものではなかった。シード校としての初戦となった誉との3回戦では2対0のリードを7回に追いつかれて、結果的には7対4だったが冷や汗ものの勝利だった。それでも高橋監督は「夏は、内容はともかく、負けないことです。勝って次があるということが一番大事なんです」という言葉には説得力があった。 準々決勝では、優勝候補筆頭に推されていた享栄や公立の雄・大府、3年連続出場の愛工大名電を次々と倒してここまで大旋風を巻き起こしていた名古屋たちばな(旧愛産大工)との試合となった。昨秋はタイブレークの末に敗れた相手でもある。試合は9回一打逆転サヨナラという厳しい場面まで追い込まれながら、4人目としてマウンドを託された飯島健太投手(3年)が踏ん張って、連続三振で切り抜けた。高橋監督は、中京大中京の先輩でもある名古屋たちばな・鈴木将吾監督に昨秋の借りを返した。 準決勝は秋、春に続いて日本福祉大附との対戦となったが返り討ちを果たす。そして決勝は愛知県の高校野球を代表する看板カードと言ってもいい東邦との名門校対決。一時は1点差まで迫られながらも、最後は神谷倖士朗内野手(3年)、山田頼旺外野手(3年)らの打線が火を吹いて東邦の投手陣を粉砕。7対3で勝利して春のコールド負けのリベンジも果たした。 甲子園で勝つよりも厳しいとも言われるくらいの愛知大会の戦いを切り抜けてきた中京大中京。甲子園では、「やっぱり愛知県は中京でなけないかんわぁ」と、古くからの県内のファンに言わしめるような、強い中京大中京らしい戦いを期待したい。