【2歳馬ジャッジ】7馬身差Vのアメリカンビキニが破格の指数 同日2勝クラス勝ち馬と同等の力示す
函館の2歳戦
7月13日(土) 函館1R 優勝馬 イガッチ 指数-4 評価A 3番枠から五分のスタートを決め、外から前を主張する馬を行かせて好位の最内を追走した。前の逃げ馬とのスペースを作って道中を進め、3~4角ではそのスペースを潰して4角で中目に誘導し、4角出口で先頭に立った。直線序盤で3馬身差ほどのリード。最後は外からプレシャスデイにやや差を詰められたが、2馬身半差で完勝した。 新馬戦では芝1200m戦に出走して5着。出遅れ後にかなり押していき、外から2度前に入られて終始好位の外々を回るロスで、最後の直線は伸びきれなかった。この新馬戦では追走に苦労しており、距離を延ばして変わる可能性は秘めていたが、芝1800mのここでスムーズにレースの流れに乗れていた。 今回はなかなか良い指数を記録。今後は芝の中長距離で順調に伸びていきそうだ。勝ったり負けたりしながらオープン級での活躍が期待できる。 7月13日(土) 函館11R 優勝馬 サトノカルナバル 指数-11 評価A 7番枠から五分のスタートだったが、そこから押して先行し、好位の外目を追走。3~4角では好位の外からじわっと押し上げて、2列目付近で直線へ。直線序盤では、逃げるニシノラヴァンダの後ろをぴったりマークして進めたエンドレスサマーがしぶとく伸びていたが、それをかわして2番手に上がる。ラスト1Fでニシノラヴァンダを競り落として1馬身1/4差で完勝した。 サトノカルナバルは東京芝1400mの新馬戦を7馬身差で勝利した馬。走破タイムが平凡だったことで疲れが残らず、東京からの転戦、続戦でも順当に上積みを見せたようだ。 函館2歳Sとしては並レベルの指数。タフな馬場で高指数決着になってしまうと、その後の疲労が懸念されるところだが、今年はほぼ前残りの一戦で、そこまでダメージは残らないだろう。今後もサトノカルナバルなりの着実な上昇が期待できそうだ。 また、エンドレスサマーも新馬戦のダメージが出ることなく3着に善戦でなかなか評価できる。この一戦は指数上位馬がそのまま上位を独占。指数が高く崩れた馬は出遅れ組という結果だった。 7月14日(日) 函館1R 優勝馬 ドゥアムール 指数-5 評価A 9番枠から立ち遅れたが、二の脚で挽回して2F標手前でハナへ。3~4角では後続を引き付け、2列目勢が上がって来るのを待って直線へ。序盤で追われるとリードを1馬身差に広げ、ラスト1Fではさらに後続を引き離して2馬身半差で完勝した。 ドゥアムールは新馬戦ではスタートでアオり、行きっぷりもひと息で3着。次走の未勝利戦も出遅れ、後方で頭を振って気性の難しさを出し、最後に伸びきれず2着という戦績だった。今回はデビュー3戦目。スタートは改善されずこれまで同様に悪かったが、過去2戦よりも行きっぷりが良く、楽にポジションを挽回できたことが勝利に繋がった。2馬身半差の着差が示す通り、今回の指数は悪くない。 毎回出遅れており、これまで全能力を出し切ったことは一度もないだろう。順調に使われながら、かつ一度も全能力を出し切ることなく、着実に指数を上昇させていくのはとても理想的だ。例年の北海道開催ではキャリアを積みながら強くなる馬が出現するが、今年はこの馬がそれにあたりそうな気配がする。 7月14日(日) 函館5R 優勝馬 アスクシュタイン 指数-5 評価A 4番枠からまずまずのスタート。二の脚が他馬よりも速く楽にハナを主張し先頭を取り切ってコントロール。やや折り合いを欠いていたが、他馬も抑えてくれたことで1~2角でかなりペースを落とし、マイペースで逃げることができた。道中は団子状態だったが、3角で外からプレッシャーをかけられると、徐々にペースを引き上げ、2番手と3/4馬身差で直線へ。序盤ですっと抜け出してラスト1Fでは3馬身ほどの差。最後に外からリアライズオーラムに一気に迫られるも、余裕を持って1馬身半差で完勝だった。 この馬は悠々としたフットワークが美しく、序盤の段階で勝利する気配を感じさせていた。昨年の札幌新馬戦で強い勝ち方をしたガイアメンテを思い出させるような勝ちっぷりだった。ラスト2Fは11秒7-11秒5。上がり3Fタイムは2位の34秒7。瞬発力を示す数字が秀逸とまではいかないところもガイアメンテに似ている。素質はかなり高い馬と見る。重賞戦線での活躍に期待したい。 ※パワーポイント指数(PP指数)とは? ●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示 例)アメリカンビキニの指数「-20」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも2.0秒速い ライタープロフィール 山崎エリカ 類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる競馬研究家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。
山崎エリカ