【2歳馬ジャッジ】7馬身差Vのアメリカンビキニが破格の指数 同日2勝クラス勝ち馬と同等の力示す
7月2週目の2歳戦
このコラムでは古馬のレースと比較しながら2歳戦の指数を算出し、出走馬を評価していく。今回は小倉ダ1000mで2歳レコードVを達成し、破格の指数を記録したアメリカンビキニ、圧勝した新馬戦から順調な上積みを見せて函館2歳Sを優勝したサトノカルナバルなどが出た、7月13、14日の2歳戦について指数と評価を掲載する。 【アイビスSD2024 推奨馬】単回率111%&複勝率55%超え!3つの好データを持つ! SPAIA編集部の推奨馬を紹介(SPAIA)
福島、小倉の2歳戦
7月13日(土) 福島5R 優勝馬 ニシノルプ 指数-3 評価B 2番枠からトップスタートを決め、枠なりで楽に先頭。道中は鞍上が抑えていたが、他馬に絡まれることなくマイペースに逃げた。3~4角は他の馬が懸命に追うなかで楽な手応え。直線序盤で追われたが思ったほど突き放せず、後続とは2馬身差。ラスト1Fではタキノボリにクビ差まで迫られたが、3着馬には4馬身差をつけて勝利した。 着差の構成から好指数決着に見えたが、走破タイム、上がり3Fタイムともにそこまで優秀ではなく、指数もそこまで高いものとはならなかった。ただ、新馬戦を逃げて勝利した馬は次走でグンと良くなることも多々ある。叩かれて面白い存在になりそうだ。 7月13日(土) 福島6R 優勝馬 キタノクニカラ 指数-2 評価B 3番枠から五分のスタート。そこから促して好位を取りに行ったが自然と後退し、道中は先団からかなり離された中団を追走した。3~4角で促されて前との差を徐々に詰めたが、4角でも先頭とは7馬身ほどの差。直線を向いて追われると、ひと追いごとに前との差を詰めて直線序盤で3列目付近まで上がり、先頭と4馬身ほどの差になった。ラスト1Fでは外からルチアーナに猛追されたが、前をまとめて差してクビ差で勝利した。 走破タイム、ラスト1Fの数字ともに平凡なのだが、上がり3Fタイムの34秒6は当日の福島の馬場を考慮すれば悪くない。となると2着馬ルチアーナの上がり3Fタイム34秒0は、かなり評価できる数字となる。上位2頭は面白い存在になりそうだ。 7月14日(日) 福島5R 優勝馬 ホウオウガイア 指数-5 評価A 10番枠からやや出遅れはしたが、まずまずの行きっぷり。外枠だったこともあってポジションが下がり、中団外目からの追走となった。道中は単独4列目で我慢し、3~4角で仕掛けると一気に前との差を詰め、4角で3~4頭分外からマクリ切って先頭列で直線に向いた。直線序盤で先頭に立ち、ラスト1Fでもしっかり伸びて3馬身差で完勝した。 3角過ぎから長く良い脚を使う、豊富なスタミナを感じさせる内容で、なかなかの好指数勝ち。半兄アレグロブリランテも昨年の福島芝1800mを勝利しているが、妹ホウオウガイアの方が新馬戦時点では指数が優っている。後にスプリングSで2着した兄同様の成長曲線を描けるなら、かなりの活躍が期待できそうだ。 7月13日(土) 小倉1R 優勝馬 アメリカンビキニ 指数-20(ダート) 評価AA 6番枠から好スタート。外のタガノサダフの方がゲートは速かったが、本馬は二の脚が抜群に速く、楽にハナを取って逃げる形となった。4角まで後続との差はそこまで大きくなかったが、直線に入るとグングン引き離していき、直線序盤で3馬身半差。最終的には2着に7馬身、3着とは15馬身もの差をつけて圧勝した。 前走の新馬戦では勝ち馬ハッピーマン同様、スタートがあまり良くなかったが、そこからポジションを取りに行った競馬ぶりは勝ち馬以上にロスがあったとも言える。ハッピーマンが好指数勝ちで高評価となっただけに、今回はアメリカンビキニへの期待が高まっていた。 ダ1000mの走破タイムは57秒2で2歳レコード。同日の同距離2勝クラスを上回る走破タイム(指数自体は同日2勝クラスと同等)での勝利とは驚きだった。ラスト2Fは11秒8-11秒5と加速できており、余裕を感じさせた点も評価できる。 デビュー2戦目で古馬2勝クラスを勝利できる指数を記録。これは、例年のエーデルワイス賞を楽に勝てるものだ。ただし、今回は減量騎手を起用したことで加速が楽になったため、恵まれた面はある。さらにこれだけの走りをすると、楽勝のように見えても疲労が残る可能性があり、加えてこの時期にダ1000m勝ちだと、その後に使うところがなく、次走のレース選択が難しくなってしまうなどの問題はある。 マイナス面を列挙してしまったが、今回の走りが優秀だったことは確か。順調ならダートのオープン、重賞での活躍がかなり期待できる。 7月13日(土) 小倉5R 優勝馬 マジカルフェアリー 指数-4 評価A 3番枠からややアオって後手を踏んだが、すぐに立て直して先行策。前のギザキズラヴが頭を上げながら下がるのをすっと避けて2列目の中目を追走していたが、1~2角で一列下げて、道中は中団を追走した。3~4角から前との差を徐々に詰めて、4角大外から直線へ。直線序盤では前との差が詰まらなかったが、ラスト1F過ぎからグイグイ伸びると2馬身差で完勝した。 上がり3Fタイム34秒6はこの週の小倉芝中距離では最速。ラスト2Fは11秒9-11秒4で最後に0秒5加速した。以前までのラスト2Fの数字に均せばこれでおおよそ11秒4-11秒4くらいの価値と見ている。今後オープンでの活躍が期待できそうだ。 7月14日(日) 小倉5R 優勝馬 トップオンザヒル 指数-1 評価B 4番枠から好スタート。内のグティも速かったが、手綱を抑えて控えたため、トップオンザヒルが逃げる形になった。不良馬場の芝2000m戦ということもあり、スタミナ温存を図りたいところで、どの馬も消極的だった。トップオンザヒルの鞍上は田口貫太騎手。やはりこういう時は減量騎手の方が行きたがるようだ。 その後、2角を回って左手前に替えた瞬間に左に逃げて2番手のメリトーリアスの進路を妨害してしまい、この影響でメリトーリアスは後方に下がってしまった。一方、トップオンザヒルは態勢を立て直して先頭を走り、そのまま4角を回って外へ誘導したが、ここでも左手前に替えた瞬間に外にヨレて斜行。内に切り返したが、また外に斜行して後続馬の勢いを削ぐ形になった。結果的にクビ差での逃げ切り勝ちだった。 上がり3Fタイムは38秒4と完全な消耗戦。勝利したトップオンザヒルが何度もヨレたのは、よほど苦しかったためだろう。馬場状態を考慮すれば完全なオーバーペースだったと言える。このような一戦は潜在能力が低い馬だとダメージが残ってしまうが、一方で厳しい経験を糧にスタミナが強化され、次走で大きく飛躍する馬もいる。出走馬たちが次走どのように変化していくか興味深い。 7月14日(日) 小倉6R 優勝馬 ラブアイミー 指数-2 評価A 6番枠から好スタート。ひとつ外のシルバーサクラコが先頭に立つと、その外の2番手からプレッシャーをかけていった。レース当日は不良馬場。シルバーサクラコはオーバーペースだったようで、3角手前で後退。そこで本馬が先頭に立つと、3~4角で徐々に後続を引き離して2馬身差で直線へ。直線序盤でも2馬身差のリードを維持。緩みない流れで外からの差し馬の方が有利な展開のなか、ラスト1Fではもうひと伸びして、1馬身1/4差で完勝した。 早め先頭に立って押し切るかなり強い内容。指数はそこまで高くならなかったが、着差以上に強い。本馬の母ラブカンプーは2歳夏の小倉でデビュー。1勝目を挙げるのに時間を要したものの、3歳夏のアイビスSDで2着、秋のスプリンターズSでは、直前の調教内容から状態不安説→当日11番人気2着激走など面白い戦歴の馬だった。ラブアイミーも母同様、面白い成長曲線が期待できそうだ。