W杯で快進撃を起こしている5か国にある共通点とは?
コスタリカ得意のサイド攻撃
ワールドカップ・ブラジル大会は日本時間の29日未明から、いよいよ決勝トーナメントに突入する。グループリーグを勝ち残った16か国でもっとも異彩を放っているのは、グループDを1位で突破した伏兵コスタリカであることに異論はないだろう。 ウルグアイ。イタリア、イングランドとワールドカップ優勝経験国がそろったグループDは「死の組」と呼ばれ、開幕前の下馬評でコスタリカは3強に勝ち点を供給する「草刈り場」と見なされていた。しかし、コスタリカは初戦でウルグアイから3対1の逆転勝利を奪って世界を驚かせると、続くイタリアにも1対0で快勝。最終戦を残してグループリーグ突破を決め、イングランド戦も危なげなくスコアレスドローで乗り切って堂々の1位通過を決めた。 初出場を果たした1990年のイタリア大会こそベスト16入りを果たしが、2002年大会と2006年大会はグループステージで敗退。北中米カリブ海予選で涙を飲んだ前回の南アフリカ大会には出場すらかなわかった伏兵が、ブラジル大会における最大級の旋風を巻き起こしているのはなぜなのか。 元日本代表MFで現在は解説者を務める水沼貴史氏は、チームの一体感をキーワードにあげる。「3バックを基本としながら、相手にボールを持たれたときには両ワイドが最終ラインに下がって5バック状態となってしっかりと守る。ボールを奪えば両サイドへ素早く展開し、攻め上がったワイドの選手が精度の高いクロスを相手ゴール前へ送る。加えて、ゴール前にかける人数も多い。テレビ画面の中に登場するコスタリカの選手の多さには、本当に驚かされる。ボールホルダーへプレッシャーをかけに行くときの運動量やスピードも含めて、全員が攻守両面を担っている一体感がひしひしと伝わってくる。しかも、全員攻撃、全員守備を、90分間を通して実践し続けられる。ワールドカップにおける実績のない、いわゆる強国ではないチームが勝つために必要な条件をほぼ完璧に満たしていると言っていい」。 日本時間の6月3日未明に、コスタリカはアメリカ・フロリダ州タンパで日本代表とテストマッチを行っている。結果は日本が3対1の逆転勝利を収めたが、この試合の特に前半にブラジルの地での快進撃につながる要素が表れていたと水沼氏は指摘する。「コスタリカのルイス・ピント監督は本大会を見据えて、選手交代を3人までにとどめたと試合後に語っていた。実際、最初の交代のカードを切ったのは後半20分だった。日本は後半開始から遠藤と岡崎を投入し、その後も長友。柿谷、酒井宏とフレッシュな選手をピッチに送り込み、後半だけで3ゴールを奪った。コスタリカはコンディション的にも一番きつい時期だったかもしれないけれども、それでも得意とするサイド攻撃から前半31分に先制ゴールをあげている。その意味では、テストマッチは成功していたことになる」。