W杯で快進撃を起こしている5か国にある共通点とは?
メキシコ、チリの共通点
グループAでは開催国ブラジルと白熱の攻防を繰り広げ、見ている側を興奮させるスコアレスドローで株を急上昇させたメキシコが、6大会連続の決勝トーナメント進出を決めた。北中米カリブ海予選では不振にあえぎ、ニュージーランドとの大陸間プレーオフでようやくワールドカップ切符を獲得。そうした軌跡もあって決して芳しくなかった下馬評を、ブラジルの地で一気に覆した。 グループBでは伏兵と目されていたチリが、真っ向勝負の末に前回王者スペインを2対0で一蹴し、まさかのグループリーグ敗退への引導を渡した。そのスペインを初戦で5対1と粉砕し、低調だった前評判を一変させたオランダを含めて、ブラジル大会でセンセーションを巻き起こしているチームには「共通項がある」と水沼氏は指摘する。「オランダは開幕直前に4バックから3バックに変更し、守るときには5バック気味になる戦い方が奏功している。メキシコとチリも3バックで、コスタリカを含めて戦い方は共通している。人数をかけてしっかりと守って、チャンスと見るや、躊躇することなく前へ出て行く。90分間を通してそのスタイルを貫く気概と強さがある。サッカーの原点と言ってもいい。当然ながらボールポゼッションは低くなるけれども、70%くらいのボールポゼッションで相手を動かし、疲弊させた末に仕留めることができるのならばそれでもいい。日本を例にあげれば、ギリシャ戦でもコロンビア戦でもボールポゼッションでは上回っていた。ギリシャ戦でのそれは68%に達した。それでも勝てなかった理由はどこにあるのか。理想とするポゼッションサッカーは、一番いいときのバルセロナでもおそらくできない。オランダはある意味で理想というものを捨てた。メキシコはロンドンオリンピックで金メダルを獲得した自信が、ここにきて蘇りつつある」。 9回目の出場となるチリだが、2大会連続出場は意外にも初めてとなる。しかし、南アフリカ大会に続く決勝トーナメント進出は、戦術マニアとして知られた当時のマルセロ・ビエルサ監督が掲げた豊富な運動量をベースとした全員攻撃・全員守備のスタイルが、ビエルサ氏を師と仰ぐホルヘ・サンパオリ監督のもとでさらに進化している何よりの証となる。