老舗スーパーが参入し“グランピング”業界の牽引役に。カギは「サウナ」と「ペットツーリズム」
リゾート事業に見出した可能性
さらに、地域経済の発展や観光目的の需要を喚起できるリゾート施設の将来性も感じていたという。 「人口減少や高齢化に悩む地域を活性化させていくためには、滞在時間をいかに延ばして消費を促進できるかが肝になります。日帰りの場合と比べて、宿やホテルに1泊するとお土産を購入する確率が上がるという統計データもあるように、滞在時間に比例して売上向上に寄与できるリゾート施設は、スーパーマーケットとは異なるビジネスの魅力があると考えていました」 リゾートマンションや別荘地の分譲および不動産事業から、宿泊事業に乗り出したのは2011年だった。14名のオーナーで別荘をシェアする「プール付ヴィラ」の施設を開業したところ、関西地域を中心に話題となり、会員以外の一般客の宿泊も取れるように変えていったのが今のグランピング事業の原型になっているそうだ。 「2016年ごろに、“グランピング”というキーワードが国内で持ち上げられるようになってきたのが転機でした。我々としてはグランピングの定義を広く捉え、プール付ヴィラも1つのモデルとして事業を考えていました。そんななか、ポーランドのメーカー『Fdomes』のグランピング用テントと出会い、2018年に『グランドーム京都天橋立』をオープンさせたのが、ドーム型テントのグランピングの先駆けになっています」
「集客力」と「競争力」のある宿づくり
また、ドーム型テントは建物を造るよりもコストを安く抑えられることから、いろんな事業者からビジネスの引き合いも来るようになったという。そこで、集客支援やコンサルティングを手がける別会社「ブッキングリゾート」を新規で立ち上げ、グランピング施設の企画から運営、集客までを一貫してプロデュースしていった。 「グランピング施設に特化した予約サイト『リゾートグランピングドットコム』は、年間取扱高が100億円を超えるなど、非常に集客力の高いサイトになっていて、クライアントの施設へ十分な送客ができていると感じています。加えて、企画段階では他社の真似できない“競争力のある施設”を提案しています。事業予算の見積もりが甘い場合は棟数を減らしてでも、チープに見えないクオリティの高い施設になるようなアドバイスを行っているんですね」