老舗スーパーが参入し“グランピング”業界の牽引役に。カギは「サウナ」と「ペットツーリズム」
ホテルと違う“グランピング”なら成立する場所
このようにリゾート事業に注力した結果、関西エリアのみならず関東圏や各地域の主要観光エリアにグランピング施設を続々とオープンさせていく。事業用地の取得に関しては、「ホテルは成立しないけど、グランピングなら成立する」場所を選定するように意識していると西垣さんは話す。 「当社の運営するアウラテラス茨城やグランドーム千葉富津などは、他の事業者が手を出さない物件を取得して建てた施設なんです。通常のホテルや旅館は、観光需要を捉えるために温泉地や避暑地に宿泊施設を建てます。一方でグランピング施設は若年層のグループ旅行が多く、自由な雰囲気でバーベキューを楽しんだりサウナでのんびりしたりするのが提供価値になっています。なので、グランピング施設は、都心部からアクセスしやすい立地に建てたほうが良いと言えるわけです」
コロナ前後でグランピングの定義が広がった
コロナ禍では、アウトドアが脚光を浴びてキャンプブームが起こったが、グランピング需要についてはコロナ前後でどのように変わったのだろうか。西垣さんは「以前と比べてグランピングは多様化している」とし、次のように見解を述べる。 「コロナ前はグランピングという言葉を聞くと、テントを思い浮かべる人が多かったのですが、今ではドームテント型やコテージなど、建物の形状が多種多様になっています。ある種、グランピングが市民権を得たことで、コテージやヴィラよりもグランピングと打ち出した方が売れるんですよ。そういう意味では、グランピングという言葉の定義自体がすごく広がったと感じていますね」
グランピングは「サウナ」と「ペットツーリズム」
さらに、グランピング施設のトレンドには、4つの傾向が考えられると西垣さんは続ける。 「まず1つ目は、秋や冬の集客コンテンツになるサウナ付きのグランピングです。やはりサウナのある施設のほうが、全体的に稼働率が高い傾向にあります。2つ目は、自然に囲まれながら大人数で寛ぎの時間を過ごせる貸し切りスタイルのグランピング施設です。 そして3つ目はペットツーリズムで、ドッグラン付きのグランピングの人気がかなり高まっています。ペットと一緒にグランピングを楽しみつつも、愛犬の健康管理をするためにドッグランを走らせたいというニーズが顕在化していますね。4つ目は卒業旅行やバースデーといった若者のハレの日需要も生まれています」 なかでも、ペットツーリズムは色々と変化しており、大型犬専用の大きなドッグランに興味を持つ人も多くなっているそうだ。そのほか大型犬は夏、小型犬は春や秋と、犬種によって繁忙期が異なるのもドッグランの特徴となっている。