江戸時代から「推し活グッズ」はあった? 歌舞伎が現代に残した“3つの影響”
歌舞伎は掛け声で楽しむ!
歌舞伎は大衆演劇として広まったものですから、見物の折、そんなに細かな決まりごとはありません。私は、鳥取から毎年お客様と着物姿で南座の顔見世を見に行きますが、特に緊張はしません。歌舞伎は、演じる役者が着物姿で、やぐらも和風ですから、着物姿がとっても似合います。 着物を着ていく場所がないと言われる方には、ぜひ一度歌舞伎に出かけて頂きたいものです。南座は、京都の花街(祇園)にあるので、着物のプロの方の普段の着物姿も客席には見られてとても華やかです。 あえて、一つ注意して頂きたいことといえば「かけ声」でしょうか。歌舞伎等の日本の演芸の場での声援は、本来は声を掛けてあげるのが習わしでした。日本では、拍手は神を呼びだす習慣と考えられていたので、江戸時代には客は声を掛けて盛り上げていたのでした。拍手は明治になってヨーロッパから入ってきた文化なのです。 当時、役者は身分が低く、苗字はありませんでした。やがて、人気が高まると共に地位も上がり、幕府によって商人と同じように表通りに住むことが認められ、商人としての屋号を苗字代わりに名乗ることも許されました。それで客は役者の屋号を呼んで盛り上げるようになったのでした(=大向・おおむこう)。 例えば、市川団十郎は、成田不動に願をかけたら子宝に恵まれたことから「成田屋」、坂田藤十郎は出身地にちなみ「山城屋」、松本幸四郎は、若い頃に丁稚奉公をしていた神田の商屋から「高麗屋」を名乗りました。 さあ、みなさん、それでは、着物を着て歌舞伎に出かけましょうぞ!「よっ、成田屋!!」
池田訓之(株式会社和想 代表取締役社長)