「神絵が1分で生成される」 進化するAI、イラストレーターの仕事を奪うのか
AI襲来の恐怖、モチベーションがそがれる絵描きも どう付き合うか
イラストレーターのディープブリザードさんは、mimicの利用者の一人だ。お絵描き指南のYouTubeチャンネルを運営するなど、イラストレーター志望の若い人と接する機会が多い。AIに対するアンビバレントな思いを口にする。 「いろいろ使ってみて、現時点の判断としては、うまく付き合えば絵を描く人の助けになるツールだし、過度に著作権を侵害するものではないので、そこまで強く拒絶すべきではないと思っているんです。ただ、絵描きの中で、画像生成AIを使うことがあまり好意的に見られていないことは事実です。絵描きの側からすると、プロが時間もお金もかけて描くような絵を瞬時に、しかも無料で出してくれるサービスというのは恐怖であって、それでモチベーションがそがれている人たちがいるのは、問題にはなっていて」 「また、著作権的にも倫理的にも非常にグレーな部分があります。AIの活用が始まってまだたった半年なので、それは当然なんです。だからこそみんなが悩んだり考えたりしている中で、明らかに著作権的に問題のある学習素材を使ったAI画像生成サイトを利用して『あなたの好みの絵をつくります』みたいな商売を始めている人もいるので、そういうことに怒りを感じている人は多いと思います。ただ、それで『すべての絵描きはAIを使うな』というのも違うので、私もどうにかして、AIそれ自体が絵描きの仕事を奪いにきているわけではなく、使う側の問題だと伝えたいのですが」
ディープブリザードさん自身はかわいいキャラクターの絵を得意とする。自分の画風をまねたmimicのAIから、自分では使わない色やデザインが出力されるたびにハッとする。 「絵描きってなんでも描けると思われていますが、実は得意なものしか描けないと思っています。これから絵を描いて生きていく若い人たちには、『自分の絵』を見つけてほしい。そして、mimicのようなAIは、それを助けてくれるんじゃないかと思うんです。鏡のように、『自分では描いていない自分の絵』を見せてくれることによって」