「神絵が1分で生成される」 進化するAI、イラストレーターの仕事を奪うのか
自分の画風を学習させるAI「mimic」 「炎上」からの再スタート
mimicは、自分の画風をAIに学ばせてイラストを生成できる「画像→画像」型のサービスだ。昨年8月に「炎上」したときの主な批判は、「悪意をもって他人の絵を学習させる人が出る」という危惧だった。 mimicでは、まず自分の絵を15~100枚アップロードする。AIが画風を学習し、描き手の個性が反映されたイラストメーカーが自動的に作成される。学習させるには時間がかかる。
mimicを手がけるラディウス・ファイブで、AI事業の開発責任者を務める菅原健太さんはこう話す。 「mimicの場合は学習にかかるのは2時間ぐらいです。1回モデルをつくってしまえばいくらでも画像を生成することができます。弊社では以前からコンテンツを生成するタイプのAIをクリエイター向けのツールとして提供しているのですが、『クリエイターの手にAIを渡してしまったらおもしろいのではないか』というのがそもそもの着想でした」 新しいコンセプトのサービスだったが、β版を公開すると批判が殺到して翌日にサービスを一時停止。菅原さんはこう振り返る。 「他人のイラストをアップロードする行為を禁止する、違反していないか運営がチェックするなど、一般のウェブサービスと同水準のしくみを備えていたのですが、予想を超える反応がありました」
利用登録を審査制にする、生成したイラストはツイッターアカウントと紐づいたかたちで必ず公開される、利用規約違反を報告できるフォームを設置するなどの不正利用対策を施した上で、11月に復活した。 現在、審査を通過したユーザーによるAIイラストが数万枚公開されている。審査結果を待っている人もかなりいる。国産サービスが批判を受けてスピードを緩めるあいだにも、海外サービスでは日々膨大なAIイラストが出力され、猛スピードで研究開発が進む。菅原さんにも「文字→画像」型のAIのアイデアはあるし、mimicを進化させたようなサービスのアイデアもあるのだが、「やるかやらないかは慎重に考える必要がある」と話す。 「長期的にはユーザーを拡大したいという気持ちもありますが、今は絵師の方が安心して使えるということを大切にしているので、世論や社会が変わらない限り(審査制を)変えることはないですね。中国語圏や英語圏で(AIが)盛り上がっているのはわかっているのですが」