「フェアじゃない」記事、それでも発信を続ける──動物の殺処分や虐待をなくしたい、滝川クリステルの覚悟
「動物保護の活動を伝えたくて、インスタグラムを始めました。でも、写真をアップしてもほぼ子どものことしかニュースにならないんですよね」 「お・も・て・な・し」、斜め45度……いくつかの代名詞とテレビや報道から読み取られるイメージで滝川クリステルは語られてきた。2000年代からニュースキャスターとして活躍し、2014年に「一般財団法人クリステル・ヴィ・アンサンブル」を設立。現在は子育てと仕事に励みながら、動物保護活動にも注力している。取材が始まると、予期せぬ単語が次から次へと飛び出した。(文:岡野誠/撮影:木村哲夫/Yahoo!ニュース オリジナル 特集編集部)
転機は「タブー」に触れたVTR
現在も、滝川には「お・も・て・な・し」という代名詞が付いて回る。東京五輪招致の際に発した8年前のワンフレーズを、今まで何度となく繰り返され嫌気が差すことはなかったか。 「あはは。何も気にしてないですね。たしかに、ずっと言われてますね。『じぇじぇじぇ』とか最近、聞かないですもんね。『お・も・て・な・し』が流行語大賞に選ばれた時、『じぇじぇじぇ』『今でしょ!』『倍返し』の三つと一緒だったんですよ。言われてみれば、『斜め45度』とか私には形容詞がつきますね。それについて、特になんとも思わないかな」
2000年、テレビ制作会社の共同テレビにアナウンサーとして所属。フジテレビに出向し、『スーパーニュース』などの報道番組でリポーターを務め、2002年に『ニュースJAPAN』のキャスターに抜擢された。翌年、スタジオのセットが落ち着いた色合いと暗めの照明に変わり、“斜め45度”のアングルでカメラに捉えられた。斬新な演出が話題を呼び、クールなキャラクターができあがった。 「自分のイメージって、自分ではよくわからないんですよね。私は子どもの時から活発で、自然や動物ととても身近に育ってきました。家でもたくさんの動物たちに囲まれて暮らしていて、鳥も飼っていたので肩に鳥の糞がくっついてないか必ずチェックしてから出掛けていました(笑)」 キャスター時代の2007年、新聞で年に約30万頭の犬や猫が殺処分されていると知る。 「あまりの数の多さに頭をガーンってたたかれたような気持ちになりました。個人での飼育放棄が多いなか、ペットショップなどで売れ残った犬や猫の行方も気になってはいたけれど、『まさかね』と自分の心を納得させようとしていた。調べてみると、物のように大量生産して、余ったら動物実験に使ったり、殺処分したりする構図が存在していたのです」 『ニュースJAPAN』で犬猫殺処分の企画を出しても却下され続けたが、2009年にようやくゴーサインが出る。だが、全国の保健所に連絡しても取材拒否が相次いだ。唯一、「精神的にも体力的にも限界です。現実を伝えてください」と大分の保健所が協力してくれた。滝川はVTRを流す前、「見たくない人は見ないでください。でも、伝えたいことがあります」と腹をくくった。 「タブーですし、すごくセンシティブなことですからね。私も現地を訪れてから、何日も気分が落ち込みました。また、毎日のように殺処分する人たちにどれだけ負担をかけているか。そこで働く人たちにも、すごくつらい思いをさせていることに気付きました」 批判殺到を覚悟したが、番組ホームページには「事実を伝えてくれてありがとう」など称賛が大多数を占めた。 「スタッフみんな、驚いていました。これがきっかけの一つになって、動物の問題を解決するため、いずれ本格的に活動したいと考え始めたんです」