「フェアじゃない」記事、それでも発信を続ける──動物の殺処分や虐待をなくしたい、滝川クリステルの覚悟
「おもてなし」で時の人に オファーを断り財団設立
2013年9月、国際オリンピック委員会(IOC)総会で東京五輪招致のプレゼンテーションを行い、老若男女に名前が浸透した。これを機に、2014年5月に「一般財団法人クリステル・ヴィ・アンサンブル」を設立。アニマルウェルフェア(動物福祉)の向上と犬猫殺処分ゼロ及び生物多様性保全を目指している。 「ちょうど自分に注目が集まっていたので、『おもてなしの人はなんで動物のための財団を始めるんだろう?』と思ってもらえる。あの時、(五輪招致成功に関する)いろんなオファーがあったのですが、ほとんど断って立ち上げに注力しました。人探しから寄付の集め方、登記など初めて取り組むことばかりで、異常に白髪が増えました」 財団設立前年の2013年度、犬猫の殺処分数は12万8241頭だったが、2019年度には3万2743万頭まで減少。状況は大きく改善した。一方、当時は東京五輪開催時にCOVID-19という未知のウイルスが世界中に蔓延するとは誰も想像できなかった。招致の立役者として、この1年半どんな心境だったのか。 「複雑な気持ちでした。組織委員会の人たちの苦労もよくわかっていたし、日本人全員が納得しての開催は絶対にない状況だったので、うまくいくと信用するしかなかった。(開催について)賛否両論の意見があって、裏方の人たちはどんな思いなのかなと……。なので、選手の皆さんの『大変な中、いろんな方が動いてくださって』という言葉に救われたと思います。それに、多くの選手が『つらいことばかりだった』と言っていた。1年の延期、開催が不透明な雰囲気の中で練習すること、また日本中の人たちが大変な思いをしている中で、オリンピックの舞台に立つ心境を考えると、本当に大変だったんだろうなって……」 パラリンピックの開会式には、俳優でいとこの滝川英治が出演した。4年前、彼はドラマ撮影中のアクシデントで首から下が不自由になってしまった。 「事故直後の絶望を垣間見てきたので、英治の生き生きとした表情に胸がいっぱいになりました。彼に対しての温かいコメントが私にも直接たくさん届き、本当にうれしかったです」