なぜ女子だけ?高梨沙羅ら4か国5人がスーツ規定違反の大混乱…ノルウェー選手「通常の測定方法ではなかった」と訴え、ドイツ監督は「クレイジー!」と激怒
身体とスーツの測定は、特製のノギスを使い手作業で行われる。FISのガイドラインでは測定時の姿勢などについても細かく定められているが、手業ゆえに誤差が生じることはこれまでも指摘されていた。今回は測定方法にまた新たな問題があったのかもしれない。 ノルウェーのブレード・ブラテン・コーチは同メディアに「本当に言葉を失った。選手たちにとってはとても辛いことだ。新しい種目を導入して、もう一つの種目に出場できたのにことにこんなことになってしまった。そして、なぜ女子だけが失格になったのか。残念ながら、私たちのスポーツにとって悲しい日となった」と話し、FISに対して説明を求める抗議行動を起こすことを明らかにした。 海外メディアも初採用となった混合団体で起きた異常事態を問題視した。前出のユーロスポーツは「冬季五輪のスキージャンプ混合団体戦は失格者が続出し一部の国が激怒したことで茶番劇に陥った。スロベニアが金メダルを獲得したことよりも最大の話題となったのは審判員の行動だ」と厳しい論調で批判。ドイツのスキー専門メディアの「スキー・スプリンゲン・ドットコム」も「北京で失格の嵐…スポーツを破壊する行為だ」とのタイトルで問題視した。 国際スキー連盟の公式サイトも「トップの4チームのメンバーは、スーツがルールに適合していなかったために失格となった。これらの失格者がこの日の話題の中心となった」と伝えた。 そして、メダリストたちのコメントと共に、失格の恩恵を得て、銅メダルを獲得することになったカナダチームとのやりとりを紹介している。 「他のチームのジャンパーが失格になったことを考えると苦い思い出になるメダルではないか?」という厳しい質問に対して、アビゲイル・ストレートは、次のように話したという。 「メダルがほろ苦いとは思わない。これ以上なく甘いものだと思う。スポーツでは用具がとても重要で失格になることもある。スキージャンプではよくあることで、今回の五輪で起きたことは、最高レベルであるがゆえに、ルールが厳しく守られていることを示していると思う」 これも立派なコメントだった。 高梨は気丈にも「最後まで飛びます」と2本目のジャンプ台に上がり、98.50mのビッグジャンプを見せたあと、しゃがみこんで号泣。テレビカメラにむけて健気に数秒間にわたって深く頭を下げた。 ルールとスポーツマンシップがなければ五輪という最高の舞台は輝かない。だが、勝者も敗者も、どこか喉の奥に骨が刺さったような後味の悪い戦いになってしまった。その理由と原因をスキー界全体が究明せねばならないだろう。 (文責・論スポ/スポーツタイムズ通信社)