小学校4年生からほとんど学校には行っていません…平均月収60万円、15歳の少女が歩んできた想像を絶する人生【Z世代ネオホームレスの実態】
「お金がない」「家がない」「頼れる人がいない」…そういった事情とは別の理由でホームレス状態になっている、いわば〝ネオホームレス〞とも呼べる存在の若者が増えているといいます。本記事では、元芸人でYouTube登録者数24万人超えの青柳貴哉氏の著書『Z世代のネオホームレス 自らの意思で家に帰らない子どもたち』(KADOKAWA/2023年4月発売)より一部抜粋し、著者が新宿歌舞伎町のトー横界隈で出会った15歳の少女についてご紹介します。 都道府県「遺産相続事件率」ランキング…10万世帯当たり事件件数<司法統計年報家事事件編(令和3年度)>
「2年家に帰っていない」平均月収60万円の15歳
僕は、自分が何者であるかを説明した上で、モカさんに取材交渉を試みた。彼女は悩んだり考えたりする素振りは一切見せず、それまでと同じトーンで「いいですよー」と了承してくれた。 「もう2年くらい家には帰っていません。良く言えばホテル暮らし、悪く言えば家出少女」 取材を始めると、彼女はそう切り出した。僕は家出少女の〝少女〞の部分が気になった。雰囲気から彼女が若いことは察知していた。肩まであるミディアムヘアの毛先は赤く染められていて、その赤に合わせるかのように黒いパーカーには、紫やピンクという刺激的な配色のキャラクターが所狭しとプリントされていた。黒のスカートの丈は短い。 髪を後ろで束ねるリボンも黒、足元のスニーカーも黒い厚底、彼女の小さい顔の半分を覆うマスクも黒だ。いわゆる〝地雷系〞と呼ばれる出で立ちだった。僕は「かなり若いな。19歳、いや18歳くらいか?」と予想しながら「今、何歳ですか?」とあらためて年齢を確認すると、モカさんはまたもやはっきりと淀みなく、こう答えた。 「15歳です」 彼女は中学3年生だった。頭の中が真っ白になったあと、僕は大混乱に陥った。「え? 中学生ってYouTube に出ていいんだっけ?」「え? 中学生って撮影したら捕まるんだっけ?」などという素っ頓狂(すっとんきょう)な疑問が頭を駆け巡った。彼女の年齢を10代後半と予想していた僕の認識はグニャリと歪んだ。 モカさんの年齢を聞いて僕は分かりやすく動揺し、会話もしどろもどろになりかけていた。そんな僕にお構いなしの様子で、彼女はつらつらと自分の生い立ちを語り始めた。 モカさんが初めて歌舞伎町に来たのは小学4年生(10歳)の頃。両親はいるが二人とも本当の親ではないこと。その両親の虐待から逃げるように出た実家には、2年ほど帰っていないこと。血の繋がった本当の父親からは性的虐待を受けていたこと。現在はパパ活で生計を立てていること。平均して月60万円は稼いでいること。 そして、昔も今も、ずっと〝死にたい〞と思っていること―。 彼女の話は、そのすべてが驚きと衝撃の連続だった。15年という人生の中でモカさんの経験したことは、その倍以上生きている僕の理解をはるかに超えていた。
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