金メダリストで2児の母・松本薫、「弱みを見せたら、足元をすくわれる」「目が合うママ友だちはみんな敵」と思っていた
パリオリンピックでは、選手たちの背景、背負っているものを考えるように
2024年夏に開催された、パリ五輪では、松本さんは柔道の解説を務めました。 ――松本さんが柔道混合団体の決勝で、日本が敗れたとき選手に贈った「謝らなくていい。本当によく頑張りました」「この悔しさを許せるときが来る」といった言葉が印象的でした。優しさが伝わってきました。 松本 子どもが生まれてから、勝った選手にも負けた選手にも、応援してくれる人たちがたくさんいる。みんな何かを犠牲にして、この大舞台に立っているということを改めて感じるようになったんです。 またママ目線で見るようになり、「この選手がわが子だったらどんなふうに言葉をかけてあげたらいいんだろう?」と思うようになりました。 ――子どもたちが何か失敗したとき、どんなふうに言葉をかけていますか。 松本 たとえば下の子がピアノの練習で、うまくいかないときは「そこまでできたの? すごい!」とできたところをほめるようにしています。できなかったところを指摘したり、上手に弾けていないことを責めたりはしないようにしています。 子どもの性格にもよりますが、私は、自分の経験から「頑張れ!」とはあまり言いたくないんです。今でこそ「頑張れ!」と言ってもらえることは幸せなことと思えるようになりましたが、昔は夫に「頑張れ!」と言われて、カチンと来て「これ以上は無理!」と怒ったこともあります。「頑張れ!」と言われても、これ以上は無理なことってあるんです。 アスリートでなくても、人生には勝ち負けがつきものですよね。受験に落ちたり、好きな人に振られたり…。そんなとき、わが子の心に届く言葉をかけてあげたいと思っています。 お話・写真提供/松本薫さん 取材・文/麻生珠恵、たまひよONLINE編集部 2019年に現役を引退した松本さんは、第2の人生を歩んでいます。「忙しい毎日だけど、子育てやアイスクリーム屋さんの接客などすべてが楽しい」と話します。今回書籍化された、地元北國新聞の子育てコラムは、おおむね月2回の連載で、3年近く続いているとか。通勤電車の中で、日常に転がっているネタをスマホで書いているそうです。