陶芸家で人間国宝の十四代今泉今右衛門さん「時代に挑みたい」、井上萬二さん「健康に精進」…初窯出し
佐賀県有田町の陶芸家で重要無形文化財保持者(人間国宝)の十四代今泉今右衛門さん(62)と井上萬二さん(95)がそれぞれ6日と7日、町内の窯で初窯出しを行った。2人は取り出した作品の出来栄えを確認し、安堵の表情を浮かべていた。(井上裕介) 【写真】ステンドグラスに着想を得た花器をチェックする井上さん
今右衛門窯では、6日午前8時から、安全を祈願する神事を行った後、今泉さんが職人と皿や花瓶など約400点を取り出した。十二支が描かれた花瓶を手にした今泉さんは、絵の具の発色や釉薬の状態を確認した。
今泉さんは「ほっとしたのが正直な気持ち。日々の仕事を積み重ね、移り変わる時代に挑みたい」と気持ちを新たにしていた。
井上萬二窯では7日午前9時頃から、孫の祐希さん(36)と職人が皿や湯飲みなど約300点を取り出した。井上さんは昨夏、自宅居間のステンドグラスが夕日を反射する様子に心を奪われた。この様子を表現した花器は試作段階で、来年までに完成させたいと意気込む。
人間国宝の認定から、今年で30年の節目を迎える井上さんは「昨年は入退院を繰り返して作陶に集中できなかったので、今年は健康に精進する。アイデアはおもしろいほど湧いてくる」と話していた。