FIFA汚職スキャンダルは日本にどんな影響を及ぼすのか
未曾有の汚職スキャンダルに見舞われ、5選を果たしたばかりのジョセフ・ブラッター会長が辞任を表明する事態に揺れている国際サッカー連盟(FIFA)。後任会長を選ぶFIFA臨時総会は今年12月から来年3月までの間に開催される見通しとなっているが、騒動は収束する気配すら見せていない。 ヨーロッパ各国のメディアはここにきて、W杯の開催国を決める理事の投票で不正があったと次々に報じている。7日付けの英紙『サンデー・タイムス』は、2010年のW杯招致において開票と集計作業で不正が行われ、本来の開催国は南アフリカ共和国ではなくモロッコだったと大々的に報じた。 ブラッター会長が辞任を表明する前日の今月1日には、南ア政府から賄賂を受け取ったとして起訴されたFIFAのジャック・ワーナー元副会長へ送金手続きを行ったのが、ブラッター会長側近のジェローム・パルク事務局長であることが判明。自身にも捜査の手が及びかねない状況下に追い込まれたブラッター会長が、観念したのではという見方も強まっている。 親日派として知られる世界サッカー界の“ドン”が任期途中で表舞台から姿を消す緊急事態は、日本サッカー界にも決して小さくない影響を与えてきている。そのなかで喫緊の懸案事項となりそうなのが、日本も招致に手を挙げていた2022年のW杯となる。 FIFA理事による投票で中東カタールでの開催がすでに決まっている。しかし、7日付けのヨーロッパ各国のメディアは、2018年ロシア大会と2022年カタール大会に関して、FIFAの監査・コンプライアンス委員会のドメニコ・スカラ委員長のこんなコメントを報じている。 「カタールとロシアが賄賂によってW杯開催の権利を得たという証拠が存在するのならば、招致が無効となる可能性もある」 ロシアとカタールのW杯開催権が剥奪される可能性に関して、FIFA幹部が言及したのはこれが初めてとなる。現時点で明確な証拠は出てきていないが、もしもカタールが“クロ”となれば、2022年大会の開催国に立候補し、事前のインスペクションでカタールよりも高い評価を得ていた日本やアメリカが候補となることが十分に考えられる。 2002年から2期9年にわたってFIFA理事を務めた日本サッカー協会(JFA)の小倉純二名誉会長は、9日午後に都内で行われた「日本サッカーリーグ発足50周年記念パーティー」後に、日本の再立候補に関してこう言及している。 「いまのFIFAの状態だと、誰が何をしたのかがわからない。現時点では南アフリカ大会の話に戻っているし、もう少し時間が経過しないとはっきりしたことがわからない、というのが正直なところです。状況がはっきりして、もう一度(開催国を)決めるのかどうかとなった段階で、日本が手を挙げるかどうかという議論となる。現時点ではまだ早すぎるし、もう少し待っていただければと思う」 スイスの司法当局はすでに、広範囲に及ぶ腐敗の調査の一環として、ロシア、カタール両大会が招致された過程についての調査も開始していると言われる。