川崎重工が挑戦! 商談につながるBtoBマーケティングの組織づくり
購入までのキーファクターを整理
産業用ロボットは、一般的なビジネスとは異なる販売方式をとっている。ロボット製品単体を購入するだけでは工程を最適化できないため、SIer(システムインテグレータ)が周辺機器、プログラムなどと組み合わせてロボットシステムとして販売している。
川崎重工が直接販売することはほとんどなく、代理店や商社を通じて販売してSIerにわたり、エンドユーザーに納入されることが一般的だ。代理店やSIerなどのパートナー企業との協力が非常に重要であるため、エンドユーザー、SIer、代理店の3つのステークホルダーを意識しながらマーケティングを進める必要がある。
なお、購入までのプロセスにはいくつかのキーファクターがあり、ロボットが売れるまでの一般的な流れは次図のようになる。
最初にお問い合わせがきた際に、営業担当者は次のような点を確認する。これらが要件を満たさない場合は案件化しない。 ・予算 ・システムパートナーの有無 ・必要なアプリケーションは何か ・自動化の状況確認 など 続いて案件化が進むと次のような確認を行う。 ・パートナーやアプリの紹介 ・お客様の現場の監査 ・ロボットシステムのシミュレーション など その後、他の企業との比較を含め、次のようなことが行われる。 ・予算の確認 ・エンジニアリング(システムが要件に適合しているか、サイクルタイムが適切か) ・投資対効果の確認 など 受注が確定すると、詳細の見積もりを送付して契約・発注が行われる。 既存顧客であれば3か月で契約まで進む場合もあるが、新規顧客であれば通常6か月~12か月かかる。規模感にもよるが、案件によっては2~3年かかることもあるという。
小さな成功体験を横展開することが鍵
産業用ロボットにおけるビジネスの特徴を整理すると、次の4点がある。 ・問い合わせから受注までに要する期間が長い ・受注1件当たり数百万から数億円とレンジが広い ・ユーザーの工程の一部を担い、品質に影響を与える ・問い合わせをもらった時点での勝率は10%以下 B2Bマーケティングにおいて、CRMへの登録は欠かせないが、現状では勝率が低く、受注までのプロセスも長いため、マーケティングスキームの意義が理解されにくい。また、費用対効果がわかりにくいため、CRMへの登録がタスクとして認識されてしまうことがあるという。