川崎重工が挑戦! 商談につながるBtoBマーケティングの組織づくり
プロのマーケティング集団へ
マーケティング部門は、2015年までは総務部の一部門にすぎず、事業部から依頼されたイベント出展やカタログ制作、Webサイト制作を請け負っていた。当時は、極力情報開示を行わないという会社の方針もあり、このような体制が取られていたという。 2017年に、現在の社長がロボット事業のトップになり、営業企画部門が設立され、メディア露出やCMS(Contents Management System:コンテンツ管理システム)、CRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)の導入など、マーケティングを重視した体制が整った。
この変革期にマーケティング部門の基礎が作られたものの、当初はコンテンツ制作と運営に留まっており、マーケティング施策を実施していなかった。2022年にマーケティングコミュニケーション課ができ、マーケティング戦略に基づいた施策を実施できる体制が整ったと中村氏は語る。
ただ、一足飛びに大きな変化を遂げるのは難しく、一つずつ整理しながら進められた。まず、メディア戦略がなかったため、PESOモデル、つまりPaid(ペイド)、Earned(アーンド)、Shared(シェアード)、Owned(オウンド)で施策を整理した。
┌────────── 4つの各メディアが現在どのように利用されているのか、役割や目的を整理し、ターゲット企業がどこに当てはまるのかを考えました。 ロボットは、購入までに時間がかかる商材であるため、さまざまな検討段階があります。そこで代表的なペルソナのカスタマージャーニーマップを作成し、我々のメディアとコンテンツがどのような役割を果たし、どのような動線で顧客に影響を与えるかを理解するようにしました(中村氏) └──────────
スキームの構築で、お問い合わせ数が33%増加
戦略を推進するにあたっての課題の一つがコンテンツ不足だ。そこで、各国で作成し、その国のみで利用していた導入事例や動画を、他の国にも展開することでコンテンツを充実させていったという。 コストの課題もあった。コンテンツ制作や広告運用を制作会社や代理店に依頼するとコストがかかりすぎるので、これらの業務をできるだけ内製化したり、フリーランスに依頼したりすることで、コストを最大10分の1まで削減した。