【阪神】藤川新監督 ソフトバンクFA石川柊太〝見送り〟姿勢も…大山、坂本ら絡む野手戦線は状況難解
阪神・藤川球児監督(44)が8日に秋季キャンプ地の高知・安芸で報道陣の取材に応対し、国内FA権の行使を宣言した石川柊太投手(32=ソフトバンク)の獲得について否定的見解を示した。12球団屈指の投手力を誇るチームだけに、現有戦力に自信をのぞかせた格好だが、野手陣の来季へ向けた編成に関しては、予断を許さない状況が続く。多くの有力野手が権利の行使を熟考中の今オフFA戦線では、パズルのように複雑な〝玉突き事故〟に巻き込まれてしまう可能性すらある――。 石川争奪戦参入の可能性について問われた若き虎将は「ないんじゃないですか。今のところ僕の中には頭に入っていない」と即答。指揮官就任以降、オフの補強戦略については「フロントに任せていますので」と一線を引いた態度を保ってきたが、この日は珍しく一歩踏み込んだ発言をした格好だ。 自軍の投手力に大きな自信を持っているということだろう。米球界挑戦を表明した青柳が退団するとなれば確かに痛手だが、秋季安芸キャンプのブルペンでは門別&茨木の高卒2年目・期待株コンビが、連日のように力強い投球を披露。23歳右腕の石黒も、周囲からの評価を日に日に高めている。「今のチームには十分素晴らしい投手たちがいる」と藤川監督は余裕の笑みすら浮かべた。 その一方で、大山悠輔内野手(29)、坂本誠志郎捕手(30)ら4選手が一気に国内FA権を取得した野手陣の動向は極めて不透明だ。チーム不動の一塁手・大山と昨季のゴールデン・グラブ賞に輝いた坂本は、両者とも8日時点で権利行使への態度を保留中。他球団に流出するとなれば、チームが被るダメージは甚大だ。 生え抜き選手の育成が投打で順調に進んできた阪神は2018年オフに西勇を獲得して以降、FA戦線には参戦していない。だが5日に粟井球団社長は「補強ポイントの選手が出てくれば考える」と6年ぶりとなる移籍市場への殴り込みを示唆。その背景には「円安とNPB投手のレベルアップが同時進行する中、有力な外国人野手の補強が難しくなった」(球団関係者)球界事情が横たわる。 岡田前政権時に獲得したノイジー、ミエセスら助っ人野手も、支払った対価に見合う成績を残せぬまま日本を去った。万が一にも大山の流出を許してしまった場合、同じくFA権を取得した佐野(DeNA)、大城(巨人)ら一塁を守ることができる国内選手で、その穴は埋めるしかない。 また、大山と並ぶ今オフFA市場の目玉選手・甲斐(ソフトバンク)が古巣を離れた場合、ホークス側は虎をはるかにしのぐ豊富な資金力で〝代替捕手〟として坂本の獲得を強行する可能性もある。他球団の思惑があまりにも複雑に絡み合うFA戦線。たった一つの差し違いが致命傷となる可能性もあるだけに、情報戦で出遅れるわけにはいかない。
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