あの頃、俺たちはハングリーだった 『劇映画 孤独のグルメ』公開記念・松重豊×甲本ヒロト特別対談
今飲みたいのはサンラータン
――今回の映画は、スープの味を探し求めるお話です。そこで、おふたりがお好きなスープも教えていただいていいですか? 甲本: いろんなインタビューを受けてきたけど、お好きなスープを聞かれたのは初めてだねぇ。今飲みたいのは、サンラータン。 松重: またマニアックな。 甲本: 美味しかろう? 松重: 美味しいけど、『珉亭』にないから、あんなん昔は喰ったことなかった。俺はとにかく豚汁が好き。 甲本: それはずるいわ。それはみんな好きよ。 松重: 映画の現場って冷たい弁当で我慢しなきゃいけないことが多くて、そんな時にあったかい豚汁が出てきて、「ちょっと暖取ってください」って。そんなの絶対に美味しいに決まってる。 甲本: どんな一流シェフもできんて、あんなもん。 松重: 2日目、3日目ぐらいでまた豚の脂がこなれてきてね。蓮根とかに沁み込んで。 甲本: なんか知らんけど、ペラッペラのリトマス試験紙みたいなこんにゃくがいっぱい入っとる。あれ、なんか好きなんよな。 松重: まあでもサンラータンもいいね。お腹空いてきた。 甲本: 俺は具体的にいま喰いたいものを言った。 松重: 寒くなってきたから、スープ欲しいよね。映画の公開が冬でよかった。スープのいいところって、食べたお客さんが「これなんの出汁?」って謎を知りたくなるところ。で、スープの中には素材や、隠し味や、目に見えない努力とかが入っている。そういうものって、どんなものでも感動するし、それがスープというものをテーマにしたかった理由なんです。ほら、サンラータンも何で出汁とってるかわからんもんな(笑)。 【構成/山脇麻生 撮影/高橋ヨーコ スタイリスト(松重)/増井芳江 ヘアメイク(松重)/高橋郁美 衣装(松重)/suzuki takayuki 武田メガネ(参考商品)】
日刊SPA!