ワーファリン、プラザキサ、リクシアナ…新しい「血液サラサラ薬」にひそんでいる「命にかかわる副作用」
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新しい「サラサラ薬」の罠
高血圧、高脂血症で悩む人には、脳卒中や心筋梗塞のリスクを避けるために抗凝固薬、いわゆる「血液サラサラ薬」が手放せないというケースも多いに違いない。 いちばん有名なのは「最古の抗凝固薬」と言われるワーファリン(ワルファリンカリウム)だが、'11年以降は新しく開発されたプラザキサ(ダビガトラン)やリクシアナ(エドキサバン)といったクスリが一気に普及している。 抗凝固薬や、同様に血液をサラサラにする作用がある抗血小板薬に共通する副作用が、血が固まりにくくなることによる体内での出血だ。当然ながら、脳や頭蓋内で出血した場合は命にかかわる。 新しいクスリのほうが安心なのではないか、と思うかもしれないが、そう単純ではない。 「ダビガトランやエドキサバンは量のコントロールが簡単で使いやすい。その一方で、抗凝固薬には出血が起きたときにそれを治すクスリも用意されているのですが、新しい抗凝固剤ではそのクスリが高価で、置いていない病院も少なからずあるのです」(前出・徳田氏) また抗血小板薬で最もポピュラーなバイアスピリン(アスピリン)には、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、消化管からの出血といった副作用がある。 '10年から米国やオーストラリアで行われた調査では、70歳以上で脳卒中や心臓病を経験していない人にとっては、アスピリンの健康効果を、出血の副作用が上回るという結果が出ている。
クスリが体に合わない場合は...
前出の徳田氏は、「特に高齢者の場合は、クスリ漬けになることを避けるためにも、クスリのメリットとデメリットのバランスを見極めることが重要」と語る。 「服用するクスリの種類が増えれば増えるほど、副作用のリスクは高まります。たとえば10年以上も飲み続けないと効果がわからないようなクスリを、90歳を越えて飲み始める必要はあるのか。私はそうした総合的な判断で、クスリを出すようにしています」 また前出の宮田氏は、クスリに疑問を感じたときにどうするべきか、こう指南した。 「クスリが体に合わない、副作用が心配だという場合には、まずは効果が近いほかのクスリに替えられないか、医師に聞いてみましょう。そのとき、『その不調はクスリのせいじゃないですよ』と即座に否定されたら、あまりいい医師ではないと思ったほうがいい。 もちろん自己判断で飲むのを止めてしまうのはよくないですが、代替薬が見つからないケースはほとんどありませんから、心配なことがあれば、積極的にかかりつけ医や薬剤師に相談することが大切です」 皆が飲んでいる人気のクスリだからといって、安心してはいけない。小さな違和感でも見逃さず、思い切って声を上げることが、副作用を避けるためには不可欠だ。 「週刊現代」2024年6月8・15日合併号より
週刊現代(講談社)