「税金対策」以外にもメリットあり…〈年収800万円超〉なら“ひとり社長”がおすすめなワケ【税理士・公認会計士の助言】
「繰戻還付」は税務署に目をつけられる!?
前年度の税金を繰戻還付できる 黒「法人化のメリット6つ目は、青色申告をしている法人の場合、前年度の赤字を繰戻還付できるという点です」 ――「繰戻還付」というのはどういう制度ですか。 黒「欠損金の繰戻還付とは、前年度は益金が出ていて、今年度は欠損金が出た場合に、前年度に納付した法人税の一部について還付を受けることができる制度です」 ――前の年に納めた税金が一部戻ってくるんですね、これはいいですねえ! 黒「ただし、戻ってくるのは法人税だけです。地方税、消費税は含まれないため、前年に納付した税金すべてが戻ってくるわけではありません」 ――法人税だけなんですか。それにしても、そんなお得な制度があったんですね。 黒「そうなんです。この制度、意外と知られていないんですよね。クライアントにも『え? そんな制度があるの』ってよく言われるんですよ」 ――こんなにお得なのに、なぜ知られていないんですか? 黒「都市伝説とはいかないまでも、『繰戻還付をすると税務調査が入る可能性が高くなる』という話があり、税理士があまり伝えていないこともあるようですね。 ただ、調査といっても、調査官が来るケースももちろんあるものの、電話だけのこともありますし、根拠資料を提出して終わりということもあります。もちろん特になんの連絡もなくスルーされることだってありますし、過剰に恐れる必要はないといえます」 決算期を自由に決められる 黒「個人事業の場合は1月から12月までが事業年度で、翌年2月16日から3月15日までが所得税の申告期限となっています。 法人の場合は、決算から2ヵ月以内が法人税等の申告期限です。決算期は自由に決められるので、繁忙期を事業年度の最初に、閑散期に決算期を持ってくるといったことができます」 ――それによってどんなメリットがあるんですか? 黒「売上や利益の上がるタイミングを期首に持ってくることによって、計画的に節税することが可能です。 また、3月決算や12月決算だと会計事務所なども忙しく、監査法人が見つからないことも多くありますので、あえて時期をずらして税理士さんと密に連携がとりやすいタイミングに決算期を設定することができます」 ――なるほど、それはいいですね! 黒瀧 泰介 税理士法人グランサーズ共同代表/公認会計士・税理士
黒瀧 泰介