「税金対策」以外にもメリットあり…〈年収800万円超〉なら“ひとり社長”がおすすめなワケ【税理士・公認会計士の助言】
“ひとり社長”の圧倒的な節税メリット
所得が分散できる ――ここからは、ひとり社長が個人事業主よりも優位な節税メリットを紹介していきます。1つ目は「所得が分散できる」です。 黒「先述のとおり、所得税は累進課税で、収入が多ければ多いほど税金も高くなります。ということは、所得を分散して所得税率が下がれば税金は安くなります。 個人事業主の場合には所得を分散できませんが、法人の場合、社長と会社に所得を分散することができます」 ――個人事業主のときは自分1人だけだったのが、法人になると自分と会社の2人になるようなイメ-ジですね。 黒「そのとおりです」 給与所得が控除される 黒「まずは個人の場合の控除を確認していきましょう。個人事業主の場合、青色申告特別控除制度と電子申告または電子帳簿保存を適用しても、控除額は最大65 万円程度です。 それに対し、法人にして給料をもらった場合、『給与所得控除制度』を適用して、所得税を節税できます。 [図表2]は収入金額別の、給与所得控除額を表しています。法人化すれば最大195万円の控除を受けることが可能です」 ――同じ所得の控除が、個人は最大65万円、法人は最大195万円なんですね。かなり金額に差がありますね! 前年度の赤字を長期繰越できる 黒「法人化すれば、個人事業主よりも長く、欠損金を繰り越すことができます。欠損金の繰越期間は、個人事業は最大3年間ですが、法人は最大10年間です」 ――法人のほうが期間が3倍以上長いんですね。そもそも、欠損金を繰り越すことはなぜメリットといえるのでしょうか? 黒「利益が大きいほど、税金は高くなります。そのため、赤字が発生した翌年度以降の黒字の年に、繰り越している赤字を使って利益と相殺すれば、利益が少なくなって税金が安くできます。 たとえば、ある会社で1,000万円の赤字が出たとします。それ以降毎年100万円の黒字が出た場合、10年後まで黒字を消すことができ、節税になります」 ――向こう10年間、ずっと赤字を持ち越せるということなんですね。