明日号砲の東京マラソンが面白い!男女世界記録保持者の参戦に一山麻緒vs新谷仁美の”女王対決”
キプチョゲの参戦もあり、大会主催者側は最低でも大会記録(2時間3分58秒)の更新は計算しているだろう。今回は気象条件もまずまずのようなので、設定タイムは前回よりも少し上回る可能性がある。日本勢は第1集団か、それとも第2集団か。究極の”二択”を迫られることになる。 井上が「日本人も30kmからの勝負という意識が根付いてきているので、そういう走りができればなと思っています」と言えば、吉田も「日本人トップを目標にしていますが、勝負のポイントは35km以降だと考えています」とレース展開を予想。日本人有力選手の大半は第2集団を選択することになりそうだ。そうなるとペースメーカーがいなくなる30kmからが“本当の戦い”となる。終盤にペースアップできれば、2時間4~5分台の好タイムが期待できるだろう。 女子は2時間14分04秒の世界記録を持つブリジット・コスゲイ(ケニア)が登場するが、レースの目玉は東京五輪で8位入賞を果たした一山麻緒(ワコール)と10000mとハーフマラソンで日本記録を持つ新谷仁美(積水化学)の”直接対決”だ。 東京五輪で銀メダルを獲得したコスゲイは「大会記録(2時間17分45秒)はぜひ破りたい」と話しており、アンジェラ・タヌイ(ケニア)ら2時間17~19分台の選手たちと第1集団を形成することになるだろう。一山と新谷は2時間20分32秒のタイムを持つサラ・ホール(米国)と第2集団でレースを進める可能性が高い。なお一山は目標タイムを「02:19:??」と表記した。 「日本記録を超えたいという意味で記入しました。コンディションはいいと思います。2022年の目標はマラソンで世界陸上に出ること。世界選手権代表に選ばれるように走りたい」 日本記録と米国記録はともに2時間19分12秒。17年ぶりの大記録に一山はどこまで迫ることができるのか。東京マラソン第1回大会の優勝者である新谷は13年ぶりのマラソン挑戦となる。目標タイムは15年前の東京でマークした記録を1秒上回る「02:31:00」と書き込んだが、本心は違うようだ。 「最低限のタイムということで書きました。私もやるからには自分を納得させたい部分がある。日本記録を意識してこの3カ月間やってきたので、そこを目指して頑張りたいなと思っています」 新谷は東京五輪の女子10000mで21位(32分23秒87)に沈み、「過去の自分と決別したくて、今回の挑戦を決めました」とあえて大嫌いだというマラソンでの勝負を選んだ。どんなドラマを見せるのか。 約2万5000人のランナーが出場する東京マラソン2021。コロナ禍での開催となるが、男女ともに記録と記憶に刻まれるような熱いレースが繰り広げられるだろう。(文責・酒井政人/スポーツライター)