欧米メディアは北京パラ開会式の異例“ピース“スピーチと「間に合ったのが奇跡」ウクライナ入場に注目…一方露メディアは代替大会の開催計画を報道
北京パラリンピックの開会式が4日、通称「鳥の巣」・国家体育場で行われ、国際パラリンピック委員会(IPC)のアンドリュー・パーソンズ会長(45)が平和を訴える異例のスピーチを行い、ロシアの軍事侵攻を受けて戦時下にあるウクライナの選手団20人は拳を掲げて入場した。ロシア、ベラルーシの大会参加が直前に除外された異例のパラリンピックの開会式を海外メディアはどう報じたのか?
「戦争と憎しみの時代ではない」
開会式の選手団入場は、中国語表記の漢字1文字目の画数が少ない順で行われ、注目のウクライナの選手団が4番目に入ってくると、約3万人の招待客、関係者がつめかけたスタンドからはひときわ大きな拍手が起きた。旗手を務めたのは、ソチ、平昌五輪のバイアスロン、距離スキーで5つのメダルを持つマクシム・ヤロビー(32)。英雄を先頭に約20人の選手、関係者は、各々が左手で拳を作り、肩や胸の前に置き、その拳を天に突きあげるなどした。チームが北京入りしたのは前日。複数の欧米メディアが引用したロイター通信の取材によると、ウクライナ・パラリンピック委員会のワレリー・スシュケビッチ会長は「チームが到着するまで4日以上を要した。ここにいるのは奇跡だ。チームの一部はすでに国外にいたが、一部はウクライナにいた。必要な用具はすべてウクライナにあった。これらすべてをまとめなければならなかった。私はウクライナのパラリンピック委員会の会長になって25年になるが、パラリンピック大会に来るのがこれほど難しく大変なことはなかった」と語った。 またシュスケビッチ会長は、もし今後も戦闘が続けば、「(大会後に)帰国することは簡単ではない。パラリンピックの間に、この戦争が終わるよう世界のコミュニティーが実質的な一歩を踏み出してくれることを願っている」と切望したという。 開会式のハイライトは、IPCのパーソンズ会長の異例のスピーチだった。「今夜はまず平和のメッセージから始めたい、いや始めなければならない。共生を中核とし多様性を受け入れる組織のリーダーとして、今世界で起こっていることに強い衝撃を受けている。21世紀は対話と外交の時代。戦争と憎しみの時代ではない」と、世界平和を強く訴え、五輪、パラリンピック期間中の休戦が第76回の国連決議として採択されていることとパラリンピックの精神を紹介。 「今夜パラムーブメントは世界各国の政府に呼びかけます。アスリートたちと同様にひとつになり、平和、理解、共生を促してください。世界は、共に生きる場であるべきで、分断であってはならない」と力説し、中国語、英語、ポルトガル語で「ありがとう」と語った後、「ピース(平和)!」と絶叫し両手の拳を握りしめた。 海外メディアが開会式で注目したのも、この平和を訴えるスピーチとウクライナの入場シーンだった。放映権を持つ米NBCスポーツは「開会式は力強い平和への訴えを目玉にした」との見出しを取り、「北京パラリンピックが100分の開会式と力強いスピーチで開幕した」と伝えた。