給食用エプロンや体操着…強い香りで頭痛や吐き気が起きる「香害」とは? 専門家が解説
給食用のエプロンを着ると気分が悪くなる、体育の授業前に必ず頭痛が始まる…。最近、そんな不調を持つ子どもが増えているといいます。ひょっとしてその原因、「香り」にあるかもしれません。香りによる健康被害に詳しい千葉大学予防医学センター特任教授、坂部貢さんに話をうかがいました。 【データ】香害の原因になった製品は? 香害に関するアンケート結果はこちら(全4枚) ■給食の共有エプロンで頭痛…原因は「香り」かも? ――「香り」がきっかけで不調になることがあるのは、なぜでしょうか? 「香害(こうがい)」という言葉を聞いたことがありますか? ある特定の香りを嗅ぐと、気分が悪くなったり、頭痛や息苦しさを覚えたりなど、身体に不調が現れるものです。症状は頭痛、吐き気、めまい、下痢など多岐にわたります。原因となる香りの種類は人それぞれですが、とくに柔軟剤の香りに反応する人が多いそうです。 子どもの場合、他の家庭で洗濯された給食用の共有エプロンを使ったときや、体育の授業前に体操着に着替えるときなどに、柔軟剤の香りによって気分が悪くなるというケースが報告されています。このように、強い香りによる健康被害のことを「香害」といいます。 「香害をなくす連絡会」がおこなった調査(2019年12月下旬~2020年3月31日実施)によると、こうした香りつき製品のにおいによって具合が悪くなった人の割合は約8割にものぼりました。 具体的な症状は頭痛(67.4%)や吐き気(63.4%)が最も多く、原因となった製品は柔軟剤(86.0%)や香りつき合成洗剤(73.7%)が、香水(66.5%)を上回るという結果でした。また、被害を受けた場所は乗り物の中(73.7%)が最も多く、次いで店(62.6%)、公共施設(52.9%)の順でした。 この調査の回答者は、香害問題に取り組む団体の会員やその知り合いなど、香害に関心の高い層なので、被害者の割合も高めと考えられます。 しかし実際、国民生活センターにも「柔軟仕上げ剤のにおい」に関して、年間130~250件程度の相談が寄せられており、対応策として、消費者庁、文部科学省、厚生労働省、経済産業省、環境省合同で「その香り困っている人もいます」と題されたポスターを作製、ドラッグストアなどでの掲示を呼びかけるなど、取り組みを始めています。