岸田首相が会見 「まん延防止」全面解除へ(全文1)可能な限り日常生活を取り戻す期間に
困ったときはお互いさまの精神で
日本には、困ったときはお互いさまという言葉があります。政府としてもこの精神でウクライナからの避難民を積極的に受け入れてまいります。 このため官房長官の下に、ウクライナ避難民対策連絡調整会議を設置いたしました。この会議を司令塔として、関係省庁が連携してウクライナ避難民と受け入れ先のマッチングなど、ウクライナ避難民の円滑な受け入れと生活支援を行ってまいります。すでに出入国在留管理庁にウクライナ避難民への支援の申し出を受け付ける窓口を設けました。多くの皆さんの力を集め、ウクライナ避難民の皆さんの助けになりたいと思います。 ロシアによるウクライナ侵略の影響によるわが国経済・暮らしへの影響を緩和する対策については、すでにガソリン価格を172円程度に抑える激変緩和措置など当面の対応を決定し、国民の皆さんにお届けしています。今後も原油価格、原材料価格、食材価格などへの波及の状況を注視し、状態が長引く場合には、さらに機動的に対応してまいります。 次に新型コロナ対応について申し上げます。国民1人1人の感染防止への取り組み、自治体、医療・福祉関係者のご努力により、全国的な感染者数はピーク時の半分程度まで落ち着いてきました。病床利用率や在宅療養者数についても、地域差はあるものの、明確な低下傾向が確認をされています。こうした状況を受けた各知事の要請を踏まえ、21日に期限を迎える18都道府県のまん延防止等重点措置については、同日をもって全て解除することといたします。あす、専門家に諮問し、国会に報告の上、正式に決定をいたします。
オミクロン株に対応した医療体制維持・強化図る
第6波の出口ははっきり見えてきました。その上で今後の新型コロナ対策についての基本的な考え方を申し上げます。私は昨年の総裁選において、コロナとの闘いの当面のゴールとして、季節性インフルエンザと同様、従来の医療提供体制の中で対応可能なものとし、通常に近い経済社会活動を一日も早く取り戻すことだと申し上げてきました。しかしながら新型コロナウイルスについては、オミクロン株であっても致死率や重症化率がインフルエンザよりも高く、汎用性の高い経口治療薬もいまだ存在していません。また、さらなる変異の可能性も残ります。こうした状況を踏まえますと、今後しばらくは平時への移行期間、すなわち最大限の警戒をしつつ、安全・安心を確保しながら可能な限り日常の生活を取り戻す期間としてまいります。 具体的に申し上げます。まず最大限の警戒についてですが、第6波への対応として準備した全体像の体制を堅持しながら、オミクロン株の特徴に合わせて強化してまいります。第1に、オミクロン株に対応した医療体制の維持、強化です。1床当たり450万円の支援や看護職員の派遣単価の引き上げを4月以降も延長し、転院や救急搬送受け入れ、高齢者施設における療養体制を引き続き支援いたします。自宅療養者に対する医療機関は、1月の1万6000から2万2000機関へとさらに増やしています。 第2に熱があるときの外来診療の強化です。まん延防止等重点措置解除後においても、少し熱があるなと感じたときに、すぐに地域の医療機関で診てもらえることが大事です。いわゆる発熱外来についてはさらなる対応の強化を自治体に依頼し、合計3万6000の発熱外来を引き続き確保いたします。また、医師会の協力も得て診療報酬の加算措置を延長した上で、一部の地域で非公表となっていた実施機関名を、東京都、大阪府等において一律に公表することとしました。 第3に治療薬の確保です。感染した場合には素早く飲み薬をもらって重症化を防ぎ、治療できることが大事です。これまでメルク社、ファイザー社の飲み薬、さらに各種の中和抗体薬、合計650万回分を確保してきましたが、さらに300万回分を確保いたします。国産治療薬についても引き続き申請に基づいて承認審査を進めるとともに、治験に対する支援を倍増いたします。第4に身近な検査体制の強化です。再度の感染拡大や経済活動のニーズにも対応できるよう、国が必要な買い上げ保証を行って、向こう6か月間で計3億5000万回分の抗原検査キットを確保いたします。