飾り巻き寿司の権威に聞く「最も簡単な飾り巻き寿司」とは!?
いびつでも完成すると感無量。飾り巻き寿司「沼」にハマりそう…
川澄さんが手際良く「プードル」を巻き上げていくのに対し、筆者はいちいちつまずき、ちょっと「巻き」に躊躇すると途端にいびつな仕上がりになったりもしました。しかし、そこは優しい川澄さん。取材中、優しく親身に教えてくださり、複数回やり直しをさせていただきました。 完成した「プードル」は、川澄さんのそれと並べれば、いびつ過ぎて恥ずかしい限りですが、それでも出来上がったものを見ると、なかなか感無量。そして、飾り巻き寿司の「沼」にハマる人の気持ちがよくわかりました。「プードル」と合わせて別途「梅」も作らせていただきました(かなりいびつな仕上がりですが…)
大切なのは仕込みと段取り。見た目だけでなく美味しくなければいけない
今回川澄さんに教えていただいた「プードル」を前に、改めて飾り巻き寿司の美学と大切なコツを教えていただきました。川澄さんいわく、「まず仕込みが大事」だと言います。 「初心者の方は、巻いていく際に失敗することはよくありますが、これは仕方ないにしても、まず大切なことはやはり仕込みです。見た目は華やかで楽しい飾り巻き寿司ですが、『日本の寿司』であり、食べ物です。やはり食べた方から『美味しい』『うまい』と言っていただかなくてはいけません。そのためにも『口にする時間』をよく計算し、それを逆算した仕込みや段取りを行うことが大切だと思っています」(川澄さん) その上で、飾り巻き寿司にハマった際、どのような段取りを経てステップアップしていくかについても教えてくれました。 「今回の『プードル』のような簡単なものから始めてみると良いでしょう。その上で徐々にステップアップしていくと良いと思います。最初から凝った柄、絵に挑戦してもうまく表現できず、そこで挫折して作らなくなってしまう人も多くいます。そうならないためにも、『丸を巻く』『山をつくる』『輪郭を巻く』といった基本の形をまず習得することが大切です。これらをマスターすれば、応用次第でさらに自分ならではの飾り巻き寿司も作れるようになりますよ」(川澄さん) 冒頭でも触れた通り、川澄さんは「GINZA ONODERA鮨アカデミー」の講師としての活動のほかに、自身が主宰する「川澄飾り巻き寿司協会」での講習なども不定期で実施されています。川澄さんの複数の著書と合わせて、こういった講習会に参加すれば、その上達は早くなりそうだとも思いました。最後に川澄さんに改めて飾り巻き寿司に対する思いを聞きました。 「私にとっての飾り巻き寿司も、実はまだ発展途上です。さらに切磋琢磨して美味しく、見た目も楽しい飾り巻き寿司を目指していきたいと思っています。ぜひ、これをお読みの方でも技術を覚えて、ご家族や来客の方に喜ばれる飾り巻き寿司を作っていただければ嬉しいですね」(川澄さん) なかなか奥が深く、そして一度始めるとドハマリする飾り巻き寿司の世界。ぜひ本記事を参考にトライしてみてはいかがでしょうか。
<取材・文/松田義人(deco)>