錦織圭、再びトップレベルへ けがから復帰「自信出てきた」
同年代のライバルと熱戦
デ杯の翌週は中国でツアー大会に出た錦織は、すぐに戻ってジャパンオープンに出場。1回戦でマリン・チリッチ（クロアチア）と顔を合わせた。何度も対戦してきた一つ年上のライバルとの一戦には特別な思い入れがある。「人生の中で一番悔いが残っている試合って言われれば、たぶんあの試合を選ぶと思う」と振り返るのが、チリッチに敗れた14年全米オープン決勝だ。近年はともにけがに苦しんできた。 今回のチリッチはけがから復帰して間もなかったが、前週に優勝して勢いがあった。錦織はその相手に対し、要所で鋭いフォアハンドやコースを突いたサーブを放って競り勝った。「最近は若い選手が増えてきて知らない選手とやることが多かったけど、こうしてお互い年齢を重ねても頑張っている相手と戦うのはすごく意味のあるものだった。この（満員の）お客さんの中でできたのは気持ちよかった」と満足そうに話した。 2回戦も当時世界29位のジョーダン・トンプソン（オーストラリア）にストレート勝ち。準々決勝では同14位のホルガ・ルネ（デンマーク）にフルセットで競り負けたものの、大会を通じて得たものは大きかった。体力的に厳しそうにも見えたが、現役を続けることへの迷いはない様子。「モチベーションとしては、テニスが好きというのがある。試合をしていて楽しい」と充実の表情だった。 ジャパンオープン後、世界ランキングは141位（10月21日時点）まで上昇。来年1月の四大大会、全豪オープンの出場が見える位置まできた。十分に練習ができなかった時期を考えれば、かなり状況は好転。プレースタイルを変える考えはないそうだが、球の上がり際を打つライジングショットや積極的なネットプレーは以前あまり見せなかった部分で、新たな強みと言ってもいい。5セットマッチの四大大会では体力面の不安がまだ残るとはいえ、トップレベルの選手と互角に渡り合う錦織の姿をファンは楽しみに待っていても良さそうだ。
