「よそのマンション事情」を知りたい! 管理費の見直しに修繕計画の進め方、住民たちが本音で語る交流会をのぞいてみた
先手を打てるように
交流会以外にも、アドバイスをもらえる仕組みがある。岡山市が無料で行っている「マンション管理士派遣制度」だ。マンション管理士は2001年にできた国家資格で、組合運営や規約改正などについて専門家の立場で助言してくれる。 県マンション管理士会の水田順治会長(71)は「最初に直面するのが、築十数年ごろに行われる大規模修繕工事。その後も、エレベーターのリニューアルや排水管交換など費用がかさむ事業が待っており、管理組合の修繕積立金の確保は特に重要」と指摘する。 全国的にも、修繕積立金は不安の種になっている。国交省が全国約4300の管理組合を対象に行った「2023年度マンション総合調査」(回収率37.2%)によると、組合が取り組むべき課題に「修繕積立金の積立金額見直し」と「長期修繕計画の作成、見直し」が上位に挙がり、築年数が古いほど高い傾向が見られた。さらに「修繕積立金」が計画と比べて不足、または不明と回答している組合は6割に上っていた。 背景には、新築分譲時に低く設定された積立金が、工事費の値上がりなどに応じて増額できていないことがある。水田会長は「マンション購入時に一括で積立金を入れ、月々集める額は低く抑えているケースが多いが、初回の大規模修繕工事でほぼ使い切るケースも少なくない」と説明する。積立金の値上げや銀行からの借り入れで対応することになるが、積立金名目で借入金の返済を繰り返す“自転車操業”になる恐れもあるという。 そこで水田会長が提案するのは「早いうちの収支の見直し」だ。まずは、管理委託契約書や重要事項説明書をよく読み、管理人業務や点検費などコストダウンができる部分はないか、無料だった駐輪代を有料にするなど管理組合の収入を増やせないかなどを、理事会や総会でできるだけ早期に検討したほうがいいという。 岡山市内には大小含めて500棟を超えるマンションがあるとみられ、うち300棟程度が築20年を超えている。今後は高齢化による役員のなり手不足や、活動に無関心な区分所有者の増加なども表面化してくる可能性が高い。水田会長は「マンション運営は丁寧な合意形成が必要なことも多い。分からないことは交流会や管理士の派遣などで教えてもらい、先手を打てるようにしておくことが大切」と訴えた。 ◇ 岡山市のマンション居住者交流会は月1回、旭公民館で開かれている。対象は、岡山市内にある分譲マンションの区分所有者と居住者。参加方法などは、岡山市のホームページで確認できる。他の自治体でも同様の交流会やセミナー、相談会などを行っていることがある。 (まいどなニュース/山陽新聞)
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