斎藤知事再選で「パワハラ・おねだり疑惑」は闇の中に…「百条委員会」が存在価値を失ったといえるワケ
■当の県職員もテレワークは望んでいなかった ところが、2月県議会直後の3月に発表された職員約2300人のアンケート結果では、約7割が在宅勤務のテレワークで業務効率が「低下した」と回答している。また、在宅勤務の希望日数では、「週2日以下」が約8割を占め、「4割出勤」の達成に必要な「週3日以上」は2割にとどまった。 ほとんどの職員が週3日の在宅勤務を希望しなかったのだ。 理由として、「他職員との気軽な相談が困難で、対面で話したい」「自宅に仕事環境が整っていない」などを挙げていた。 ほとんどの県職員たちは「4割出勤」には否定的だった。県議会、県職員の不満、疑問が斎藤知事に集中した。 それでも、斎藤知事は何としても職員の「4割出勤」を目指す考えに変わりない。 斎藤県政が継続されることで、「4割出勤」は再び県議会で取り上げられ、その是非が再び俎上(そじょう)に載せられる。 いくら県議会の反対があっても、斎藤知事は、兵庫県庁の未来を決める強い権限を有している。県議会が反対すれば斎藤知事の「改革」は通らないというのは建前で、実際には111万票の民意を重く見た県議らが斎藤知事側に「寝返り」しても何の不思議もない。反対をし続ければ、彼らも次の選挙で落選の憂き目に遭う可能性があるのだ。 実際、維新の県議2人が不信任決議に賛成に回ったことについて斎藤知事に謝罪し、斎藤県政に協力する姿勢を見せている。 ■県議会は斎藤知事の暴走を止められるのか 「百条委は調査貫徹を」(朝日新聞社説)、「疑惑対応と県政両立せよ」(産経新聞社説)などマスメディアは、百条委員会の役割に大きな期待を寄せているが、実際には、SNSの威力などによって、百条委員会の存在さえ危ぶまれている。 斎藤知事の不信任決議での失職、再選は、若者・Z世代が政治に関心を持つきっかけとなった。 社会に大きな変化を求める若者・Z世代と安定を求める40代以上の世代間の対立は、まるで、斎藤知事と兵庫県議会との関係のように見える。 斎藤知事が「改革」を成し遂げるためには、若者・Z世代と連帯したSNSの活用は欠かせない。兵庫県議会が、斎藤知事を止められるのか非常に難しくなった。 ---------- 小林 一哉(こばやし・かずや) ジャーナリスト ウェブ静岡経済新聞、雑誌静岡人編集長。リニアなど主に静岡県の問題を追っている。著書に『食考 浜名湖の恵み』『静岡県で大往生しよう』『ふじの国の修行僧』(いずれも静岡新聞社)、『世界でいちばん良い医者で出会う「患者学」』(河出書房新社)、『家康、真骨頂 狸おやじのすすめ』(平凡社)、『知事失格 リニアを遅らせた川勝平太「命の水」の嘘』(飛鳥新社)などがある。 ----------
ジャーナリスト 小林 一哉