斎藤知事再選で「パワハラ・おねだり疑惑」は闇の中に…「百条委員会」が存在価値を失ったといえるワケ
■斎藤知事が推し進める「大学無償化」 選挙戦でも強く主張した「県立大学無償化」は、斎藤知事が昨年8月5日の記者会見で表明した。県議会への根回しはなかった。 これから結婚、子育てをする若者・Z世代への支援策として、斎藤知事は「高等教育の負担軽減」「県立高校支援の充実」「不妊治療支援の強化」「結婚・子育て世帯向けの住宅の提供」などを掲げている。 そのうち、「高等教育の負担軽減」が「県立大学無償化」である。 兵庫県立大学、芸術文化観光専門職大学について、県内在住者の入学金および授業料を学部、大学院共に、所得に関係なく無償化するとしている。 2024年度から順次適用して、26年度に完全実施する。所要予算額22.4億円を見込んでいる。 ■県議会の「疑問」に聞く耳を持たなかった斎藤知事 この「県立大学無償化」について、昨年の9月県議会を皮切りに、自民党をはじめ各会派からさまざまな疑問が集中した。 ことし2月県議会でも「県立大学無償化」には疑問が投げ掛けられた。 疑問の一つとして挙げられているのが、県立大学の学生、大学院生約7000人のうち、対象は約3500人であり、その事業効果は限られていることだ。 多くの学生は県立大学ではなく、私立大学や私立専門学校などへ進学していて、県立大学無償化で1人約214万円が支援される一方、その対象は1.7%と超限定的である。残りの98.3%は全く恩恵を受けず、格差を生じさせてしまう。 また個々の家庭の経済的な状況を踏まえないで、一律無償化することは、困窮する学生がいる中で支援策としてベストと言えるのか、といった声が上がっている。 つまり、事業効果が著しく限定的であり、多額の県民負担をするのに大多数の県民への還元が乏しいということだった。 これに対して、斎藤知事は「兵庫県の若者には学費の負担の不安を抱くことなく、希望する教育を受けられる環境を用意したいのがわたしの強い思い」とした上で、 「(県立大学無償化を発表したことで)県内学生を中心に過去5年間で最高の志願者数があり、無償化の効果が一定あったと考えている」 「兵庫県が県立大学の無償化を発表したことで、大阪公立大学、東京都立大学が無償化を発表した。さらに、国が修学支援新制度で3人以上の多子世帯について所得制限を撤廃する方針を示した。兵庫県が大学無償化を打ち出したことが、東京都そして国も動かしたと考えている」 などと、自信たっぷりに「県立大学無償化をしっかりと進めていく」とその正当性を主張している。 この論戦を見ても、知事と県議会の主張は真っ向から対立して相容れない。 斎藤知事は、県議会からの意見にはまったく「聞く耳」を持たないのだ。